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社員の健康が業績向上につながる!
中小企業が取り組むべき「健康経営」とは

社員の健康が業績向上につながる!中小企業が取り組むべき「健康経営」とは

従業員の疾病による生産性の低下は、中小企業にとって大きなダメージとなります。しかし「健康経営」を採り入れることで、リスクを抑えることが可能です。

目次

そもそも「健康経営」とは何か

「健康経営」とは、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践することを指す言葉です。従業員の健康に投資することで、活力や生産性の向上などにより組織が活性化し、結果的に業績や株価の向上にもつながることが期待されています。

経済産業省が2021年に実施した「健康経営度調査」のレポートによると、健康経営度の高い企業は離職率が低い傾向にあり、有給取得率や有給取得日数は高い傾向があったと分析されています。さらに、企業に勤務する従業員向けのアンケート調査でも、所属する企業の健康投資レベルが高いと感じている人は、健康状態や仕事のパフォーマンスが良好であるという結果が出ています。

このように健康経営には多くのメリットがありますが、一方でその意味や内容まで把握している中小企業は未だ少ないという現実もあるようです。

日本の総人口は2050年に1億人を切り、高齢化率が38.8%となる見込みです。働き手の数がますます少なくなっていく中で、健康経営によって従業員の健康を守っていくことは、ビジネスを円滑に回すために欠かせない要素となるでしょう。

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健康経営に取り組むと、経済産業省からの“お墨付き”が貰える

健康経営に優れた取り組みを行っている企業を表彰する制度も存在します。こうした制度で表彰を受けることで、企業が従業員の健康を守っているという“お墨付き”が社会にアピールでき、企業イメージの向上、投資家からの注目度向上などの効果が期待できます。
健康経営の表彰制度にはさまざまなものがありますが、本記事では経済産業省が関わっている2つの制度を紹介します。

【1】健康経営銘柄

経済産業省と東京証券取引所が共同で行っている表彰制度として「健康経営銘柄」があります。これは、東京証券取引所の上場企業の中から、特に優れた健康経営を実施している企業を選定・表彰する制度で、毎年約50社が選ばれています。

健康経営銘柄となるための主な選定条件は、下記のとおりです。

  • 重大な法令違反などがない。
  • 健康経営有料法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内である。
  • ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が、0%以上または直近3年連続で下降していない企業を対象とし、ROEが高い企業には一定の加点を行う。
  • 前年度回答有無、社外への情報開示の状況についても評価し、一定の加点を行う

※詳細は経済産業省の「健康経営」を参照してください

【2】健康経営優良法人認定制度

健康経営銘柄と似たような制度に「健康経営優良法人認定制度」というものもあります。これは、地域の健康課題や健康増進の取組みに対して、特に優良な健康経営を実践している法人を「健康経営優良法人」として顕彰する制度です。健康経営に取組む法人を表彰することで「見える化」し、従業員、求職者、関係企業、金融機関などから社会的評価を受けられる環境整備を目標としています。

この制度の特徴は、「大規模法人部門」と「中小規模法人部門」の2つの部門にわかれていることです。つまり、中小企業であっても認定される可能性があります。

健康経営優良法人認定制度の選定条件は、部門によって異なります。中小規模法人部門では、「経営理念・方針」や「組織体制」など、それぞれ細かく定められており、評価項目に対して必須の認定条件と、一定の項目以上が必要なものがあります。

中小規模法人部門の選定要件(令和4年度)は下記のとおりです。

大項目 中項目 小項目 評価項目 認定要件
1.経営理念・方針 健康宣言の社内外への発信・経営者自身の健診受診 必須
2.組織体制 健康づくり担当者の設置 必須
(求めに応じて)40歳以上の従業員の健診データの提供 必須
3.制度・施策実行 従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討 健康課題に基づいた具体的な目標の設定 健康経営の具体的な推進計画 必須
健診・検診等の活用・推進 ①従業員の健康診断の受診(受診率実質100%) 左記①~③のうち 2項目以上
②受診勧奨に関する取組み
③50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施
健康経営の実践に向けた土台づくり ヘルスリテラシーの向上 ④管理職・従業員への教育 左記④~⑦のうち 1項目以上
ワークライフバランスの推進 ⑤適切な働き方の実現に向けた取組み
職場の活性化 ⑥コミュニケーションの促進に向けた取組み
病気の治療と仕事の両立支援 ⑦私病等に関する両立支援の取組み
従業員の心と身体の健康づくりに関する具体的対策 保健指導 ⑧保健指導の実施または特定保健指導実施機会の提供に関する取組み 左記⑧~⑮のうち 4項目以上
具体的な健康保持・増進施策 ⑨食生活の改善に向けた取組み
⑩運動機会の増進に向けた取組み
⑪女性の健康保持・増進に向けた取組み
⑫長時間労働者への対応に関する取組み
⑬メンタルヘルス不調者への対応に関する取組み
感染症予防対策 ⑭感染症予防に関する取組み
喫煙対策 ⑮喫煙率低下に向けた取組み
受動喫煙対策に関する取組み 必須
4.評価・改善 健康経営の取組みに対する評価・改善 必須
5.法令遵守・リスクマネジメント 定期健診を実施していること、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないこと、など 必須

※1「ブライト500」は評価項目①~⑮のうち13項目以上
※2上記のほか、「健康経営の取組みに関する地域への発信状況」と「健康経営の評価項目における適合項目数」を評価し、上位500法人を健康経営優良法人2022(中小規模法人部門・ブライト500)として認定する。

※詳細は経済産業省の「健康経営優良法人認定制度」を参照してください
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従業員の睡眠を改善することも健康経営になる

経済産業省では、健康経営優良法人の中小規模法人部門における取り組み事例をPDF資料にまとめて公開しています(健康経営優良法人2022 中小規模法人部門 取り組み事例集)。その中から、取り組み事例の一つを紹介します。

従業員70人程度のある情報通信企業では、認定制度の存在を知ったことをきっかけに健康経営への取り組みをスタート。従業員が健康に対してどのような課題を持っているのか、社内でアンケート調査をしたところ、「睡眠の質が悪い」と感じている人の割合が50%を超えていたといいます。

同社は睡眠の質が悪いと感じている従業員の割合を、現状の半分以下に減らすことを目標に設定。睡眠の質を向上するための施策として、全従業員をいくつかのチームに分け、チーム対抗戦で「1日平均8,000歩」をめざす「歩数チャレンジ」を実施しました。4か月後に再び健康調査をしたところ、「睡眠の質が悪い」と回答した従業員の割合は28.4%に減少し、目標値をクリアしたといいます。

従業員数が少ない中小企業は、働く人たちの健康維持が経営の基礎となります。一方で、どのように健康経営を実践して良いのか分からないというケースも多いでしょう。どのような健康経営に取り組めば良いかを考える際は、まず社員の声に耳を傾けてみるのも一案かもしれません。

※本記事の内容は2023年3月現在の情報で作成されています。最新の情報は関連省庁のホームページなどでご確認ください。

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