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リード獲得できるBtoBサイトの“超・基本”をおさえよう

※本記事はBtoBマーケティングや法人営業・新規事業のコンサルティングサービスを提供する株式会社才流(サイル)によって体系的にまとめられたe-BOOK『BtoBサイト改善ガイドブック2024』より抜粋・一部再編集しました。
BtoBサイトのコンバージョン率は
1%以上を目指そう
BtoBサイトにおいては、一人でも多くの明確層・顕在層のリードを獲得できるのが理想ですが、目標とすべきコンバージョン率(コンバージョンの合計数 / サイト全体のセッション数)は1%以上です。
この目安は、才流が国内企業の顧客のマーケティング支援をする過程で得たものです。実際に、コンバージョン率が1%を超えたら、サイト改善ではなく集客に投資することを推奨しています。
流入経路やどんなキーワードでの流入が多いかによって数値は前後しますが、自社のBtoBサイトを訪問したユーザーの1%以上がコンバージョンすることを目指し、サイト改善を進めていきましょう。
なお、Webサイトの解析ツールを提供するイギリスのRuler Analyticsが公開した『Updated 2023: Average Conversion Rate by Industry and Marketing Source』でも、BtoBサイトのコンバージョン率の平均は2%を超えるという調査結果が出ています。
また、中小企業のビジネスに特化した広告最適化ツールを提供するアメリカのWordStreamの『Google Ads Benchmarks for YOUR Industry [Updated!]』では、BtoBの検索広告・ディスプレイ広告のコンバージョン率の平均値は検索広告が2.41%、ディスプレイ広告が0.46%と報告されています。
マーケティングや営業領域では、バケツに注ぐ水を「集客のための投資」、バケツの穴から流れる水を「逃している顧客や機会」に例えて表現することがあります。
穴が空いたバケツにどんなに水を注いでも、バケツは満杯にはなりません。どんなに集客をしても、失う顧客が多ければ、いつまで経っても売上は上がらないのです。
これをBtoBサイトに置き換えてみましょう。広告費をかけてどんなにサイトのアクセス数を伸ばしても、コンバージョン率が低く、ユーザーが離脱してばかりでは成果は得られません。
よって、BtoBサイトを改善するときはコンバージョン率の改善から始めることが重要なのです。まずはバケツの穴をふさぐことを意識しましょう。

BtoBサイトの現状把握の進め方
BtoBサイトにおいてコンバージョン率1%以上の達成に向けて最初にやるべきことは、足りないページと改善すべき箇所の特定です。とくに大きな成果が得られる箇所を洗い出し、優先的に対応していくのが効率的な改善のやり方といえます。
次の3つのステップで、自社のBtoBサイトの現状を把握し、改善すべき箇所を洗い出しましょう。
足りないページを特定する
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「大通り」を特定する
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大通りの改善事項を洗い出す
1. 足りないページを特定する
前回の記事で説明したように、BtoBサイトとして必要なページは以下の7つです。
- ホーム
- サービス・機能紹介
- 価格
- 資料ダウンロード
- 事例紹介
- 会社情報
- フォーム(お問い合わせ、資料請求)
もしも足りないページがある場合、それらを新規作成しましょう。
2. 「大通り」を特定する
サイトの改善で大きな成果が得られるのは、ホームやフォームのようなサイトの「大通り」と呼ばれる、セッション数の多いページです。
加えて、コンバージョンしたユーザーが通る道も見逃してはいけません。コンバージョン数をさらに伸ばすために優先的に改善します。
一部のユーザーしか通らないような「小道」の改善は、大通りの改善が終わって商品・サービスが軌道にのり、リソースやコストが潤沢になってから実施を検討しましょう。
また、大通りはサイトごとに異なるため、自社のBtoBサイトについてそれぞれの上位10ページを特定します。
大通りに該当するページ
- セッション数が多い上位10ページ
⇒ 過去1年分のセッション数を算出し、多い順にソートする - コンバージョンしたユーザーが閲覧する上位10ページ
⇒ コンバージョンしたユーザーが通るページも過去1年分を算出し、多い順にソートする
3. 大通りの改善事項を洗い出す
上で導き出した最大20の大通りについては、チェックリストを使って改善事項を特定します。※ダウンロードしてお手元に用意してください。
チェックリストは全部で163個の項目があります。もしもすべての項目にチェックが入る場合、そのページには問題がありません。一方、チェックが入らなかった項目は、改善の必要があります。
チェックリストを上から順番に確認し、あてはまるものにチェックを入れてください。
あてはまる場合 ⇒ チェックを入れる=問題なし
あてはまらない場合 ⇒ 空欄のまま=改善が必要
Webサイトの入口=ホーム(トップページ)
チェックリストの中から本記事ではホームをピックアップします。ホームはWebサイトの入口。資料請求やお問い合わせのCTA、よくある顧客の課題、商品・サービスの特長などのユーザーが必要としている情報をページの上部に配置しましょう。
必要な項目はチェックリストの下に掲載しているワイヤーフレームに入れています。提案時に顧客からよく聞かれる質問がある場合は、FAQとして配置するとユーザーが商品・サービスを理解するのに役立ちます。
また、初めてサイトに訪れたユーザーでも理解できるキャッチコピーや説明文、導線を用意しましょう。
ホームのチェックリスト1/2
- 企業や商品・サービスを端的に表現するコピーが真っ先に目に入る
- メインビジュアルで、ユーザーが求める情報をカルーセルで隠していない ※ユーザーニーズの少ない企業都合の情報は除く
- メインビジュアルは競合の商品・サービスと似たものにしていない
- ファーストビューに英語のメッセージや抽象的なメッセージを置いていない
- ニュースや更新情報、PRのような、多くのユーザーが必要としない情報をページ上部に設置していない
- (商材が1つの場合)ファーストビューにCTAを設置し、コンバージョン目的で訪問したユーザーを即座に誘導している
- (商材が複数ある場合)ファーストビューに商材一覧を設置し、目的の商材をすぐに発見できるようになっている
- 初めて訪問したユーザーでも迷わない、一般的なサイト構造・UIになっている ※奇をてらったものにしていない

ホームのチェックリスト2/2
- 企業や商品・サービスの特長を掲載している ※別途で特長を整理したページを設けている場合は不要
- ローディングやアニメーションなどでユーザーを待たせていない
- ホームの文字量が3,000文字以上ある

BtoBサイトで気をつけたいポイント
サイト全体としては次の9つのポイントにも注意しましょう。チェックが入らない項目は、改善する必要があります。
- 文字サイズはPCでは17px以上を採用し、小さく読みにくい文字は使っていない
- リンクやボタンなどはできるだけ明確でわかりやすく、誤解されないデザインにしている
- 「ソリューション」「価値提案」などの曖昧で抽象的な言葉を使っていない
- 言葉の演出や表現に凝らず、「どう言うか」ではなく「何を言うか」を重視している
- 見出しでは装飾目的の英語ではなく、日本語を優先している
- 意味のないアイコンや画像よりも、意味のある見出しが目立っている
- 競合と区別がつかない没個性のビジュアルになっていない ※ただし過剰な個性は不要
- シームレス遷移やアニメーションなどのUIの演出に凝っていない ※これらの演出はマイナスになることはあっても、プラスになることはない
- (ページ数が100を超えるサイトの場合)サイト内検索を設置している
執筆者プロフィール
渡辺佳彦
経営コンサル、EC・メディア運営事業、コンテンツマーケティング支援の経験を経てカオナビに入社し、リード獲得・ナーチャリング部門を管掌。メディア運営を中心としたWebマーケティングに長く貢献。株式会社才流ではマーケティングコンサルタントとして活動。
さまざまな業種・業態の企業を支援している才流が培ってきた手法やメソッド、豊富な実例がまとまったe-BOOK『BtoBサイト改善ガイドブック2024』はこちらから無料ダウンロードできます。
この記事はドコモビジネスとNewsPicksが共同で運営するメディアサービスNewsPicks +dより転載しております 。
協力:矢野絢子(才流)
執筆:渡辺佳彦(才流)
図版:才流提供
デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio)
編集:奈良岡崇子