本当に無償版の Gmail で大丈夫なのか?
パソコンやスマートフォン上で気軽に使えるフリーメールの Gmail は、世界中で10億ユーザー以上が利用しています。そして最近では個人のプライベートな利用だけでなく、企業や団体でも無償版 Gmail を利用しているケースが見られます。
とはいえ、無償版 Gmail をそのまま業務利用して本当に大丈夫なのでしょうか。
企業でフリーアカウントを利用する際に気になるのはセキュリティですが、この点については無償版 Gmail であっても過度に心配する必要はありません。Gmail は数あるフリーメールの中でも強固なセキュリティ対策を実装しているからです。送受信するメールにはTLS(Transport Layer Security)とい暗号化が施されているため、通信途中で盗聴されたり、中身を改ざんされたりといった心配はまずありません。
仮にGmail を利用している、ログインアカウントやパスワードが他人に流出し、ログインを試された場合でも、なりすましのリスクを最小限に抑えることができます。なぜなら、いつもと違った端末からログインしようとした場合、正しいユーザーが利用しているスマートフォンなどに通知が届きます。身に覚えがなく、「いいえ、私ではありません」を選択すれば、不正なログインは停止されます。端末を更改したタイミングや、急遽別の端末を使おうとログインをする際に、見たことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
これだけではありません。Gmail にログインするための Google アカウントは、無償版・有償版どちらも2段階認証の機能を併用することで、セキュリティをさらに強化することも可能となっています。
しかし、無償版 Gmail はあくまでも個人での利用を目的としたサービスであり、業務用として利用することはあまりお勧めできません。業務上でも Gmail を利用したい場合には、Google Workspace のご契約により有償版の Gmail を利用することを推奨します。
無償版 Gmail のデメリットと Google Workspace の Gmailのメリット
無償版 Gmail を業務利用するデメリットを理解するためには、そもそも Gmail のようなサービスを、なぜ無償で利用できるのかという理由から知っておく必要があります。
Gmail を提供している Google の収益を支えているのは広告ビジネスであり、Google ではユーザーごとの興味や関心にあわせた広告を表示するために、検索エンジンで用いたキーワードやWeb上での行動履歴などに加えて、無償版 Gmail でやり取りしたメールデータも自動的に収集し、解析を行っています。
これによって個々のメールの中身そのものが知られてしまうわけではありませんが、機密性の高い内容をやりとりすることも多い業務において、無償版 Gmail を利用することはやはり適切とはいえません。
また、一般的にフリーメールに対する社会的な信頼はそれほど高くないことから、無償版 Gmail のアドレスで送ったメールについても相手先のメールシステムで迷惑メールに分類され、適切な場所に届かない、取引先が用意した登録フォームで 無償版 Gmail のアドレスは受け付けられないといった弊害が生じる場合もあり、企業としての信頼問題にまで影響が出てきます。
そして無償版 Gmail の最大の問題は、その管理がユーザー個人に委ねられてしまうことです。たとえば退職後も同じメールアドレスをそのまま使い続けることができるなど、会社としてのコントロールやガバナンスを効かせることができません。
これに対して Google Workspace の Gmail ならば、安心して業務でも利用することができます。Google Workspace には組織管理機能があり、会社の管理下でユーザーの新規登録や削除、一時停止などを行うことができるのです。加えて自社独自の運用ポリシーを設定することも可能となっています。
さらに独自ドメインが利用できることも、Google Workspace の Gmail ならではの大きなメリットです。xxxxxx@gmail.comのメールアドレスではなく、自社ドメインのメールアドレスを利用することで、他社とやり取りする際の信頼度は各段に向上します。
また、Google Workspace ではメールの保存容量も大幅に増加します。無償版 Gmail の保存容量は15GB(Google ドライブ/Google フォト含む)ですが、Google Workspace の保存容量はプランによって30GBから無制限まで拡張することが可能で、業務上の重要な証跡となる過去のメールを削除することなく運用することができます。
無償版 Gmail から Google Workspace の Gmailへ乗り換えた企業の事例紹介
上記のようなポイントを踏まえ、無償版 Gmail を利用してきた多くの企業が Google Workspace へ移行しています。1日約17万部の発行部数を誇る大分県の地元紙を発行する有限会社大分合同新聞社も、そんな企業の1つです。
同社の社内ではすでに無償版 Gmail のメールアドレスを保有し、業務でも利用している社員が多かったことから、2018年に従業員全員にスマートフォンを支給したのを機に Google Workspace を導入。メール機能を切り替えるとともに、独自ドメインのメールアドレスへ移行しました。
さらに同社はメールだけにとどまらず、チャットやWeb会議、カレンダー、表計算、フォームなど、Google Workspace がグループウェアとして提供している豊富な機能を活用することで、アナログな社内システムを見直し、テレワークを含めた働き方改革を前進させています。
このように、個人での利用なら無償版 Gmail でも十分と言えますが、信頼性や享受できるメリットを考慮すると、ビジネスでは Google Workspace の利用が適切と言えるでしょう。