次世代インターネット接続環境「IPv6 IPoE」とは?
次世代のインターネット接続環境といわれている「IPv6 IPoE」は、従来の「IPv4 PPPoE」方式よりも大容量で、安定した接続環境を実現しています。
ここでは、IPv6 IPoEの説明と普及率、将来の展望についてご紹介します。
この記事の目次
IPv4からIPv6へ
ネットワーク上で通信を行う場合、情報をやり取りする機器同士がお互いを識別するための「住所」が必要となります。この住所としてインターネットで利用されているのがIPアドレスです。
現在広く使われているIPアドレスは、バージョン4である「IPv4」です。しかし、IPv4で利用できるIPアドレスの数には限りがあるため、より多くのIPアドレスが利用可能な「IPv6」への移行が進められているのです。
枯渇するIPv4のIPアドレス
IPv4では、IPアドレスを「192.XXX.XXX.XXX」(Xは任意の数が入る)のように、0~255までの数を4つ並べて表現します。IPv4のIPアドレスの総数は、約43億個となります。2017年の世界人口白書によれば、世界の総人口は約75億人で、約43億個のIPアドレスではすべての人をカバーできません。
すでに2011年にはアジア太平洋地域でIPv4のIPアドレスの枯渇が報告されています。アフリカ地域の枯渇は2020年以後と予想され、世界レベルでIPv4のIPアドレスの新規取得が困難な状況となっています。
IPアドレスの枯渇化問題に対処するためにいくつかの対策が考えられてきましたが、現時点において将来的にもっとも妥当だとされているのがIPv6への移行です。
次世代IPアドレスIPv6とは
IPv6は、IPv4のIPアドレスの枯渇という根本的な問題を解決するために考案されました。32ビットで表現されていたIPv4に対し、IPv6は128ビットで表現され、IPアドレスは16進法で8ブロックに並べて表記されています。
例:
・IPv4アドレス
192.XXX.XXX.XXX
※Xは任意の数字
2001:0db8:0000:0000:XXXX:0000:XXXX:XXXX
※Xは任意の数字およびa~fの文字列
IPv6が持つ128ビットで表せる数の総数は、約3.4×10の38乗個もあります。これは、1兆の1兆倍よりも大きい数字です。IPアドレスとして使用できる個数は、IPv4に比べて飛躍的に増大しており、世界中の機器の一つひとつに割り当てたとしても、枯渇する心配はほぼありません。
IPv6の普及状況
IPv4からIPv6への移行は、世界的に進んでいます。地域インターネットレジストリ(管轄地域でインターネットリソースの配分と登録を管理する組織)のひとつで、東部・南部アジア・太平洋エリアを管轄するAPNICの観測によれば、2012年6月に世界全体で0.59%だったIPv6の対応率が、2018年5月には16.2%に増加しています。日本の対応率は2012年6月に1.62%、2018年5月には23.8%となっており、IPv6への移行が進んでいることがわかります。
■我が国のIPv6対応の現状(ISP)
次に、ISPへのアクセス回線サービスである東日本電信電話株式会社(NTT東日本)、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)が提供する「フレッツ光ネクスト」のIPv6普及率を見てみましょう。従来の電話回線とは異なる次世代IPネットワーク(NGN)における契約数のうち、IPoEとPPPoEを合わせたIPv6対応の割合は、2012年12月には0.8%にとどまっていましたが、2018年3月にはおよそ半数に迫る48%にまで伸びています。
■GoogleへのIPv6によるアクセス割合(世界)
※出典:https://www.google.com/intl/ja/ipv6/statistics.html
■GoogleへのIPv6によるアクセス割合(国別)世界)
※出典:https://www.google.com/intl/ja/ipv6/statistics.html をもとに総務省作成(2018年1月1日時点)
IPv6の課題
IPv6接続をする場合、プロバイダーはもちろんのこと、自分の利用しているルーター、そして閲覧するWebサイトもIPv6に対応している必要があります。IPv6の普及は進んではいますが、IPv4のみとなっているWebサイトも多いのが現状です。特に日本では、Webサイトを含めた国内コンテンツサービスのIPv6対応が非常に遅れています。Alexa Internet社が公開しているデータでは、日本のアクセス上位500社のWebサイトのIPv6対応率は、2018年5月現在で15%に満たない状況です。同様のデータでの世界平均は現状30%を越えていることから考えても、日本はまたまだ普及が遅れているといえます。
この問題を解決するのが「IPv4 over IPv6」という技術です。IPv4 over IPv6は、IPv4にしか対応していないWebサイトを閲覧する際に、接続事業者がIPv4に自動変換する技術です。この技術であれば、IPv6の回線でもIPv4通信を利用できます。
次世代のインターネット接続環境へ
IPv6 IPoEは、多くのメリットがある「次世代インターネット接続環境」です。今後は、さらにITを応用した最新技術の発展が見込まれ、IPv6 IPoEがスタンダードとなることが考えられています。
OCNでは、IPoE方式を採用し、IPv4 over IPv6技術を使って、IPv6通信およびIPv4通信の両方が利用できる新たなインターネット接続サービスを提供しています。
IPoE方式は、従来のPPPoE方式より大容量化した設備を利用しているため、混雑しにくいネットワーク構成となっています。さらに、混雑の原因となりやすい個人のお客様向けサービスのトラフィックを論理的に分離することで、ビジネスで必要となる、高速で安定したインターネット利用環境を提供することが可能です。
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