輻輳しにくいインターネット回線・ネットワークとは?輻輳対策も解説
「輻輳(ふくそう)」とは、さまざまなものが1ヵ所に集中し、混み合う状態を意味しています。通信の分野においては、特にインターネット回線や電話回線にアクセスが集中することを指しています。
インターネットで輻輳が発生した場合、インターネット回線の通信速度がだんだんと遅くなっていき、さらにひどくなると回線がつながりにくくなったり、通信システムそのものがダウンしたりといった現象が起こります。
ここでは、輻輳はなぜ起こるのか?そして、輻輳が起こりにくいインターネット回線についてご説明します。
輻輳はなぜ起きる
輻輳が起こりやすい例として、電話回線があります。一昔前であれば、スポーツイベントやコンサートなどのチケット予約で特定の電話番号に電話のアクセスが集中して、つながりにくくなったりしたことがありました。現在でも、元旦に「おめでとうコール」や「おめでとうメール」が一斉に発信され、携帯電話の回線を圧迫して輻輳が起こることがあります。
インターネット回線の場合も、クラウドの利用などで一時的に大量のトラフィック(一定時間内にインターネット上で転送されるデータ量)が発生すると、輻輳が起こります。さらに、インターネット回線はアクセス先に接続できないと、接続を再度確認するといった作業を自動的に繰り返す機能を備えています。そのため、輻輳の状況をさらに悪化させてしまう可能性があります。
輻輳が起こりやすくなっている状況
インターネット回線は最近、輻輳が起こりやすくなっています。その原因としては、高解像度の動画サービスや映像配信サービス、さらにはクラウドサービスが一般的に普及したことで、大容量のデータをダウンロードすることが日常化していることが挙げられます。つまり、大量のトラフィックが常に発生しているということになります。
また、家庭内では1人が1台ずつスマートフォンやタブレットを使い、複数台の端末が常時インターネットに接続されていることも珍しくありません。さらに、AIスピーカーやゲーム機、テレビなど、ネットワーク対応の電化製品はますます増えています。
かつて、インターネットへのトラフィックは一家に1台のPCだけという時代がありました。そのころに比べると飛躍的にトラフィック量が増えているわけです。一時的に輻輳状態となった場合、通信量が多いユーザーの通信を一時的にコントロールし、より多くのユーザーが快適にインターネットを利用できるよう通信品質を改善するといった試みも行われていますが、抜本的な解決は難しい状況です。
日本国内におけるインターネットのトラフィック量は急速に伸びています。固定ブローバンドサービスの契約者は、2014年から2016年で、年率換算1.4~1.6倍と急速に伸びています(総務省「平成29年版 情報通信白書」)。固定ブローバンドサービスの契約者の総トラフィックを見ると、2016年5月から2017年5月までの1年間で39%も増加し、2014年5月に比べて3.3倍のトラフィック量の増加を記録しています(株式会社三菱総合研究所「インターネットトラヒックの現状」2018年2月)。
このように、インターネットへのアクセスが増大していることが、輻輳の原因となっているわけです。
中継設備におけるトラフィック詰まりも
インターネット回線が混雑して輻輳する理由として、数千人から10,000人程度のユーザーで共有しているフレッツ網内のネットワーク終端装置(NTE/Network Termination Equipment)に、トラフィックが集中していることも挙げられます。
電気通信事業者(キャリア)やインターネット接続事業者(ISP)では、トラフィック量の増加に合わせてネットワーク設備の増強を続けています。
それにもかかわらず、光回線の速度低下が発生しているのには、さまざまな原因があります。その原因のひとつに挙げられているのが、NGN(次世代ネットワーク)とISPのネットワークとをつなぐNTEです。ここにトラフィックが集中することが、輻輳を引き起こす原因となっています。
■ネットワーク終端装置(NTE)にトラフィックが集中
Office 365の問題も
近年はMicrosoftの「Office 365」やGoogleの「G Suite」といったクラウドサービスを採用する企業も多くなっています。このようなクラウドサービスの利用が急増していることも、輻輳の原因となっています。
特にOffice 365は、多数のセッション(接続)を同時に行うためにトラフィック量が多くなるという問題もあります。その結果、インターネット回線に輻輳が起こるといった事態が発生します。
インターネットで輻輳が起こるとどうなる?
インターネット回線で輻輳が発生しても、すぐにインターネット接続ができなくなるわけではありません。しかし、データの送受信が遅れることで、通信速度も遅くなっていくという現象が起こるようになります。軽い輻輳の場合には、通信速度が最低限補償される認定情報速度(CIR/Committed Information Rate)まで速度を下げる制御が行われます。その結果、「ウェブサイトの表示スピードが遅くなってくる」「クラウドサービスのレスポンスが遅れる」といった、目に見える現象となって表れるようになります。さらに通信速度が遅くなると、ブラウザーには「ネットワーク接続がありません」といったエラーが表示されます。
また、輻輳が起こることによって、送受信中のデータの一部が失われたり、壊れたりする可能性もあります。この現象は「パケットロス」と呼ばれています。
インターネット通信では、確実にデータが届くことを保証するため、受信したパケットのデータごとに「ACK」と呼ばれる応答を返しています。しかし、パケットロスが発生すると送信側にはACKが返ってこなくなるため、一定時間後に同じパケットを再送信します。応答が返ってくるまで何度でも同じパケットを送る必要があることから、通信速度の低下につながるというわけです。
輻輳しにくいIPoE方式による回線
では、輻輳は避けて通れないのでしょうか?実は輻輳が起こりにくいインターネット回線もあります。それは、IPoE方式によるインターネット接続回線です。IPoE方式は、次世代のインターネット接続方式で、接続設備の大容量化を前提とした回線です。
IPoEとは、「IP over Ethernet」の略で、企業内のLANなどコンピューター同士を接続する形式であるイーサネットで直接インターネットに接続する方式です。それ以前のインターネット回線は、電話回線を前提とした技術の延長線上にイーサネットを応用させたPPPoE方式が主流でした。しかし、最初からイーサネットを用いる前提で考えられているIPoE方式は、PPPoE方式のように専用の通信機器を必要とせず、VNE(通信事業者))を介してインターネットに接続できます。
IPoE方式なら輻輳しにくい
また、IPoE方式でインターネット網に接続するには、「GWR」(Gateway Router)という中継設備が必要となりますが、PPPoE方式よりも大容量化が可能となっています。OCNのIPoE方式では、通信速度を左右する帯域幅が広く、その平均値が従来の2倍となっているため、さらに混雑が緩和され、通信品質の向上を図ることができます。しかし、だからといった輻輳の心配がまったくないとは言い切れないのです。
輻輳の影響を受けない法人向け設計
インターネット回線が輻輳する原因のひとつに、動画サービスや映像配信サービスの視聴利用が挙げられますが、そのほとんどが個人向けインターネット通信です。
OCNの法人向け光回線サービスでは、個人向けインターネット通信のトラフィックを論理的に分離し、個人向けインターネット通信で発生する輻輳の影響を受けないしくみを設けています。帯域幅が広いIPoE方式に加えて法人向け設計を持つOCNなら、クラウドサービスも快適に利用することができます。
輻輳のリスクを回避する「OCN光 IPoEサービス」
「OCN光 IPoEサービス」には、従来のサービス比で2倍の帯域幅となる「標準プラン」に加えて、6倍の帯域幅を持つ「ワイドプラン」も提供しています。このワイドプランでは、Windows Updateによる通信をそのほかの業務用の通信とは分離しているため、Windows Updateが実行されているあいだでも安定したインターネット通信を利用できるようになっています。
輻輳は、ビジネス上のリスクでもあります。そのリスクを回避する上でも、OCN光 IPoEサービスの導入を検討されてみてはいかがでしょうか?
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