光ファイバーとは? 通信の仕組みやADSLから移行するメリット

光回線はADSLと比較して電磁気障害に強く、安定的かつ高速な長距離伝送が可能という特徴を備えています。そんな光回線の伝送路となるのが光ファイバーです。本記事は光ファイバーの概要や仕組みについて解説するとともに、光回線のメリットやサービスを選ぶポイントなどを紹介します。

光ファイバーとは

光ファイバーとは、透過率の高い石英ガラスや高性能プラスチックなどで構成される光の伝送路です。「optical fiber」を訳して光学繊維(こうがくせんい)とも呼ばれます。光ファイバーは電磁気の影響を受けにくく、高速信号を長距離に伝送できるという特徴をもっており、主に光回線の伝送路として使用されます。現在は「光ファイバー=光回線」という意味合いをもつ傾向にありますが、本来は高純度のガラスやプラスチックでできた細い繊維そのものを指す言葉です。非常に細い繊維状の光ファイバーを、不透明なシリコンやナイロンなどの物質で保護し束ねることで、大容量の光信号を通す「光ファイバーケーブル」になります。

光ファイバーの用途

光ファイバーといえば、多く人々が光回線を用いた情報通信を思い浮かべるかもしれません。しかし、光ファイバーは情報通信だけでなく、さまざまな分野や用途に使用されています。たとえば、光ファイバーは細径かつ軽量で施工性に優れ、電磁誘導の影響を受けないという特徴から、磁気計測器や流量計、温度計や歪計といったセンサー関連の分野で活用されています。また、産業分野で用いられるファイバーレーザーの媒質として使用されているのも光ファイバーです。そのほかにも医療用の内視鏡やレーザーメス、イルミネーションのような照明機器などの幅広い分野で使用されています。

光ファイバー回線の仕組み

光ファイバーを用いた光回線が、安定的かつ高速な通信速度を誇る理由は、光信号の特性を利用しているためです。光回線は、情報を変換器によって光信号にコンバートし、光ファイバーケーブルを伝送します。そして、光回線を通して送られてきた光信号をONUが電気信号へと変換し、そこからLANケーブルを通してルーターやデバイスに情報が送信されるという仕組みです。光回線は電気信号を光信号へ、そして光信号を電気信号へと相互に交換することで、高速かつ安定的な長距離伝送が可能とします。

光ファイバー回線とADSLの違い

ここからはADSLの概要や光回線との違いについて見ていきましょう。

ADSLとは

ADSLは「Asymmetric Digital Subscriber Line」の頭文字をとった略称で、アナログ電話回線を流用してブロードバンドインターネット接続を可能にする技術です。「Asymmetric(非対称)」とは、アップロードとダウンロードにおける通信速度が異なることを意味しており、ADSLは「非対称デジタル加入者線」と訳されます。ADSLは1989年に米国のベルコア社によって開発された高速デジタルアクセス技術であり、日本では2000年代前半に急速に普及しました。現在では、より高速通信が可能な光回線が主流となっているものの、光回線の未提供地域ではADSLを利用しているユーザーも少なくありません。

ADSLの仕組み

ADSLは一般的な電話回線を利用し、ADSLモデムを通して情報通信を行います。そして、スプリッターを利用して電話と情報通信用に回線を分割し、LANケーブルやWi-Fiを用いてインターネットに接続します。月額課金制のサービスが多く、インターネット利用時でも通話が可能という点がダイヤルアップ接続との違いです。先述したように、光回線の普及に伴い利用者は減少しており、国内における多くの通信事業者がADSLのサービス提供を終了すると発表しています。

光ファイバー回線を使用するメリット

光ファイバーを用いた光回線にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここからは光回線を利用する具体的なメリットについて解説します。

通信速度が速い

光回線を利用する最大のメリットは通信速度です。ADSLの通信速度は最大でも50Mbpsですが、一方で光ファイバーを利用する光回線の通信速度は下りと上りともに最大1Gbpsと、単純計算で20倍以上の通信速度を誇ります。一部のマンションやアパートなどの集合住宅では最大100Mbpsになるものの、それでもADSLと比較して約2倍の高速通信が可能です。

伝送損失が少ない

伝送損失とは、通信の伝送路における信号の劣化比率を指します。ADSLは伝送損失が高いため、基地局からの物理的な距離が遠いほど通信が不安定になります。そのため、通信の遅延や断続的な切断といったトラブルに悩まされるユーザーも少なくありませんでした。光ファイバーは電磁波が誘電体内を伝搬するときに生じる損失が少ないため、非常に高品質で安定した通信が可能になります。

ADSL回線よりも費用対効果が高い

ADSLは光回線と比較した場合、単純な月額利用料だけを見れば安価な傾向にあります。たとえば、電話共用型のADSLであれば月額利用料は2,000〜3,000円程度ですが、光回線は約3,000〜6,000円が料金の相場です。しかし、光回線は圧倒的な高速通信と安定性を誇るため、単純な月額利用料のみでは優劣を比較できません。とくにビジネスであれば通信品質は業務効率や労働生産性に直結するため、高速通信が可能な光回線はADSL回線よりも費用対効果に優れるといえます。

光ファイバー回線を使用するデメリット

どのような物事にもメリットの裏にはそれ相応のデメリットがあります。ここからは光回線のデメリットについて見ていきましょう。

工事費がかかる

光回線を利用するには、光ケーブルを引き込むための開通工事が必要です。光回線の初期工事費用は戸建てか、マンションやアパートのような集合住宅かで変動します。戸建てであれば20,000~40,000円、集合住宅や賃貸物件の場合は15,000~30,000円が一般的な価格相場です。原則として開通工事は立ち会いが必要になるため、費用だけでなく労力や時間というコストもかかります。また、人気のサービスは申し込みから工事開始までに時間がかかるため、最終的な回線開通まで1カ月程度かかるケースも少なくありません。

乗り換えに手間がかかる

光回線の初期工事は、プロバイダーのキャッシュバックキャンペーンを利用することで実質無料になるケースがあります。しかし、キャッシュバックキャンペーンは回線の利用期間が定められている場合がほとんどで、途中解約すると10,000〜20,000円の違約金が発生します。また、光回線の撤去時にも引き込み設備や光コンセントの撤去費用が必要です。こうした違約金や撤去費用が生じると同時に、撤去工事に立ち合いが必要になるなど、乗り換えに費用や手間がかかる点が光回線のデメリットといえます。

持ち運びができない

安定的な高速通信を可能にする光回線ですが、利用可能なスポットが極めて限定的という点も大きなデメリットです。情報通信技術の進歩・発展によって、近年ではモバイルルーターが普及しつつあります。モバイルルーターは通信速度で光回線に劣るものの、持ち運びが可能という点が大きなメリットがあります。働き方改革の推進や新型コロナウイルスの影響からテレワークの実施率が増加傾向にあるのも、モバイルルーターの普及を加速させている要因でしょう。しかし、光回線はモバイルルーターのように持ち運びはできず、自宅やオフィスなどでしか利用できません。

光ファイバー回線の導入方法

光回線を導入するためには「光回線の契約」「工事を依頼」「接続機器の設置場所を確保」「接続機器を用意」「工事を実施」という5つのステップが必要です。ここからは光回線を導入する具体的なステップについて解説していきます。

1.光回線を契約する

光回線を導入する最初のステップは回線事業者とプロバイダーとの契約です。まずは回線事業者に電話、またはWebサイトから光回線の開通を申し込みます。そして、忘れてはならないのがプロバイダーとの契約です。プロバイダーとは、回線事業者から借りた光回線を使ってインターネットにつなぐ接続事業者を指します。基本的に回線事業者とプロバイダーの両方と契約しなければインターネットには接続できません。さまざまな回線事業者やプロバイダーがあり、それぞれが特有のオプションやサービスを提供しているため、自社にあったサービスの選択が重要です。また、回線事業者によって対応エリアが異なるため、必ず事前に確認しておきましょう。

2.引き込み工事を依頼する

光回線の申し込み完了後は回線の引き込み工事を依頼します。引き込み工事とは、電線から建物の外壁まで光ケーブルを引き込み、さらに電話用の配管やエアコン用のパイプなどを通して室内につなげる作業です。そして、インターネットに接続するために必要な光コンセントを設置します。先述したように、光回線を利用するためには光ケーブルを引き込む開通工事が必須であり、工事には原則として立ち会いが必要です。しかし、すでに光ケーブルが引き込まれており、なおかつ光コンセントが設置済みであれば立ち会いは不要になります。企業の場合は休業日に工事日を設定するのが一般的ですが、土日・祝日の工事には約3,000円の追加料金が発生する可能性が高いため注意が必要です。

3.接続機器の設置場所を決める

光回線を利用するためにはONUとルーターが必要になります。ONUとは光回線終端装置と呼ばれる、電気信号と光信号を変換するための機器です。ONUやルーターには電源が必要になるため、コンセント付近に設置するのが理想といえます。注意点は、床への直置きや水回りの近くへの設置を避けることです。Wi-Fiルーターの電波は360度の円形に発せられているので、床に直置きすると下方向の電波が遮られてしまいます。水回りでは漏電などの危険があるため設置しないほうがよいでしょう。また、電子レンジや冷蔵庫、テレビなどの家電から発せられる電磁波は2.4GHz帯のWi-Fi通信と相性が悪いため、それらから離れた場所に設置スペースを確保しましょう。

4.接続するためのアイテムや機器を用意する

ONUは基本的に回線事業者から無料でレンタルできます。ルーターに関しては、ルーター機能が内蔵されているONUなら必要ありません。しかし、そうでない場合は自身でルーターを用意する必要があります。回線事業者との契約時にONUにルーター機能が搭載されているか否かを確認しておきましょう。また、ルーターはプロバイダーがキャンペーンで無償提供してくれるケースがあるため、こちらも事前に確認しておきたい情報です。

5.引き込み工事を実施してもらう

契約完了後は、およそ2週間から1ヶ月程度で光ケーブルの引き込み工事が実施されます。引き込み工事の所要時間は約1時間です。具体的な工事内容は建物の構造や周辺環境によって異なり、それによって工事費用も変動します。工事終了後はONUと光コンセントやルーターを接続し、契約情報に沿って初期設定を自身で行わなくてはなりません。初期設定やWi-Fi設定の手順はプロバイダや接続機器によって異なるため、事前に具体的なプロセスを確認しておく必要があります。

【法人向け】光ファイバー回線を選ぶときのポイント

光回線は各回線事業者やプロバイダーが多種多様なオプションを提供していますが、個人と法人では求められるサービスが異なります。個人利用の場合は不要でも、企業が業務利用する際は必須となるオプションがあるためです。ここからは法人が光回線を選ぶ上で重要となるポイントを見ていきましょう。

固定IPアドレスを使用できるか

法人が事業活動で光回線を利用する場合、重要なポイントとなるのが「固定IPアドレス」の有無です。ルーターにはインターネット上の住所といえる識別番号が割り当てられており、それを「グローバルIPアドレス」と呼びます。グローバルIPアドレスには一定期間でIPアドレスが変わる動的IPアドレスと、決して変動しない固定IPアドレスがあります。

企業のファイルサーバーには決して流出してはならない機密情報が保管されているため、特定のIPアドレスしかアクセスできないように設定することでセキュリティを強化できます。そのためには変わることのない固定IPアドレスが不可欠です。堅牢なセキュリティ環境と安全な通信環境を整備するためには、固定IPアドレスを使用できるプロバイダーを選択する必要があります。

法人向けのサービスがあるか

企業にとってセキュリティ管理は非常に重要な経営課題の1つです。そのため、法人向けのサービスプランを提供しているプロバイダーを選択するのがベストといえます。法人向けプランの多くは、固定IPアドレスの使用はもちろん、インターネット上に仮想の専用線網を構築するVPN通信や手厚いサポート体制の整備、または領収書の発行といったサービスを提供しています。法人向けプランは個人向けプランより月額利用料が高く、契約時に登記簿謄本の提出が必要ですが、それを補って余りあるメリットを享受できます。

多拠点ネットワークの構築が可能か

法人が光回線を選択する際は、多拠点ネットワークの構築が可能か否かも重視すべきポイントの1つです。働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルスの感染拡大などの影響からテレワークの導入率が増加しており、リモートアクセスの重要性が高まっています。多拠点ネットワークを構築可能な光回線のサービスを導入することで、拠点を跨いだ業務連携や情報共有が可能です。事業規模の大きな企業や事業拡大を目指す組織は、多拠点ネットワークを構築できるサービスの選択が望ましいといえます。

2020年5月末に総務省が発表したデータによると、2019年9月時点における企業のブロードバンド利用率は全体の95.8%にものぼり、そのうち86.9%が光回線となっています。今後もこの流れは加速していくと予測され、光回線は情報通信のスタンダードとなっていくでしょう。ADSLから光ファイバーへの移行を検討している企業は、ぜひ本記事を参考にして通信環境の整備に取り組んでください。
(参照元:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/200529_1.pdf)

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