光回線が遅い・つながりにくいのはなぜ? 原因や対策を解説
光回線の通信速度が遅い、つながりにくいといった状態では業務に支障をきたします。たとえば、電子資料のダウンロードやオンライン会議なども満足に行えません。本記事では、こうした状況の打破を目的として、光回線の通信に生じる問題の原因と、適切な対策について解説します。
光回線が遅い・つながりにくいときに考えられる8つの原因
1. 使用している端末が古い
端末の処理能力は、搭載されているCPUで決まります。発売から一定期間が経っている端末の場合、処理速度の遅い古いCPUが搭載されており、動作が遅くなる傾向にあります。
また、古い端末では搭載されているOSがアップデートされておらず、動作が重くなることもあるため注意が必要です。端末によってはそもそも最新のOSに非対応であり、インストールやアップデートが不可能なケースもあります。
2. Wi-Fiルーターや周辺機器が古い
古いWi-Fiルーターも、光回線の速度が遅くなる原因となりえるため注意が必要です。古い機種の場合、高速インターネットを想定した設計を採用していないケースが多く、最新の光回線利用時にも速度を落としてしまうことがあります。
使用している光回線が300Mbps程度の通信速度であっても、ルーターが100Mbpsまでしか対応できないとなると回線のポテンシャルを活かせません。
ルーターのみならず、古いLANケーブルも通信速度の低下を招くおそれがあります。長く使用しているケーブルは、折れや曲がりなどにより破損しているケースが少なくありません。また、ケーブルの規格が古いと回線速度の低下につながるため、併せて確認が必要です。
3. 建物の配線がLAN方式やVDSL方式である
マンションやアパートなど、集合住宅で暮らしている場合、建物の配線方式によっては、通信速度が大幅に低下してしまうおそれがあります。
配線方式は、光回線方式とLAN方式、VDSL方式の3つです。このなかで、もっとも通信速度が速いのは光回線方式であり、LAN方式やVDSLの速度は光回線と比較して大きく劣ります。
配線方式の確認にあたっては、ケーブルを接続しているコンセントをチェックしましょう。光回線方式が採用されていれば、コンセントには「光」や「光コンセント」と記載されているケースがほとんどです。LAN方式ではLANコンセントが、VDSL方式ではモジュラージャックが採用されています。
LANコンセントにも、光コンセントと同様に「LAN」と表示されていることが多いため、確認してみましょう。モジュラージャックは、角型のモジュラープラグを挿しこむための挿入口であり、見ればすぐにわかります。
LAN方式やVDSL方式を採用している建物に光回線方式を導入する場合、通常は開通工事が必要です。工事までには数カ月ほどかかることもあるため、注意を要します。
4. 接続方法に問題がある
接続方法によっては、回線速度の遅さや不安定さを招きます。たとえば、無線接続で光回線を利用しているようなケースです。
また、光回線における周波数帯の選択が不適当な場合も考えられます。周波数帯には2.4GHzと5.0GHzの2種類があり、Wi-Fiコードの末尾がgであれば2.4GHz、aなら5.0GHzです。2.4GHzは障害物に強く、遠方まで電波を飛ばしやすい利点があり、5.0GHzは電波干渉に強いうえに高速通信が可能です。
高速通信をしたいのにgタイプを使用しているなど、シーンにマッチした選び方ができていない場合、光回線の通信速度は遅くなることがあります。加えて、一度に何台ものデバイスを同時接続してしまうと、通信速度が大幅に低下するリスクがあることも覚えておきましょう。
5. プロバイダーに回線障害が起きている
ユーザー側の使用環境に問題がなくても、プロバイダーのトラブルで通信速度が遅くなるケースがあります。それまで何の問題もなく使用できていたのに、突然速度が遅くなった、すべての端末で動作が重くなった、といったケースではプロバイダー側での回線障害などが疑われます。
とりわけ自然災害の発生後には、回線障害が生じることが多いため注意しなければなりません。これは台風による大雨や雷などにより、プロバイダー側で用意しているネットワーク機器や設備が、物理的に破損するケースがあるからです。また、後述するとおり、アクセスの集中によるケースも見られます。
プロバイダー側で問題が発生しているかどうかを確認するには、プロバイダーの公式HPへアクセスしてみましょう。何らかのトラブルが発生している場合、公式HPやSNSなどでアナウンスがあります。大抵は障害情報のページが設けられているため、そこを確認してみてください。
6. ルーターに負荷がかかっている
ルーターへの過度な負荷は、通信速度にも影響を及ぼします。たとえば、1台のルーターに対しいくつものデバイスを同時に接続しているようなケースです。
ルーターへの同時接続数は無制限ではありません。機種ごとに上限を定めているケースがほとんどです。上限を超えておらずとも、多くの端末を接続すると負荷が生じ、通信速度の低下を招きます。
7. 利用者が多くて回線が輻輳している
回線の輻輳(ふくそう)とは、アクセスの集中によって通信速度の低下が発生している状態を指します。アクセスが集中すると、ネットワーク上で転送されるデータ量が増加し、回線が混雑してしまいます。ネットワーク帯域の渋滞は、通信速度の低下を招くため注意が必要です。
また、プロバイダーにアクセスが集中し混雑すると、通信が遅くなる、途切れるといった事態が発生するケースもあります。プロバイダーが混雑しやすいのは、インターネット利用者の数が増える休日や夜間の20時以降などです。同時に多くのユーザーが回線を利用することで、通信速度の低下や不安定化を招きます。
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8. ルーター周辺の障害物が邪魔になっている
ルーターの周辺に障害物があると、電波が届きにくくなり、通信を妨げるおそれがあります。たとえば、家具や雑貨に囲まれている、壁のすき間にルーターを設置しているといったケースです。
また、床への直置きなど、ルーターを低い位置に設置している場合も、椅子や机などが障害物となり、端末へ送る電波を阻んでしまうおそれがあります。
電子レンジや冷蔵庫など、電波を発生させる家電の近くに設置するのもNGです。家電が発生させる電波に干渉してしまい、通信に悪影響を及ぼします。ほかにも、アルミ缶などの金属や鏡は電波を反射するため、通信不良の原因になりかねません。
そもそも光回線の速度はどのくらいあれば良いのか?
光回線の通信速度の改善へのりだす前に、自社の回線速度を把握する必要があります。これは通信速度が遅い原因が回線にあるのか、それとも別のところにあるのかを判断するためです。回線以外の部分に問題があるケースも少なくありません。
回線速度は、インターネット上で提供されているツールにより計測可能です。特別な手続きなどは必要なく、ワンクリックで速度を計測できるツールがほとんどで、料金もかかりません。
光回線に求められる速度は、目的により変わります。たとえば、サイトの閲覧であれば1~10Mbps程度で十分です。クラウドサービスやチャットツールの利用なら1Mbps程度、オンライン会議は15Mbps以上であれば快適に利用できます。
他方、動画視聴は最低3Mbps、4Kなどの高画質にこだわるのなら25Mbps以上が理想です。大容量ファイルのダウンロードには、100Mbps程度あれば問題ありません。
光回線が遅いと感じたときの対策方法
端末の性能を上げる
通信速度が速い回線を導入しても、接続する端末のスペックが低ければ意味がありません。回線のポテンシャルをフルに活用するため、高性能な端末への買い替えを検討しましょう。
光回線に対応できる高性能な端末であれば、CPUの処理速度が速くメモリーやハードディスクなども十分な容量を確保しています。OSも最新バージョンが搭載されているため、高速でのインターネット通信が可能です。
古いルーターを使用している場合、こちらも併せて買い替えを検討しましょう。たとえば、かつて主流であった規格Wi-Fi4は、最新規格のWi-Fi6に比べると通信速度が相当遅くなります。
接続している端末数を減らす
接続している端末数がルーターの接続可能上限に近いほど、通信速度に悪影響を及ぼします。ルーターのスペックと、上限を超えて接続していないかどうかをチェックしましょう。
企業のオフィスでは、複数端末を同時接続するケースが多いと考えられます。この場合でも、通信速度の低下を招かないよう、優先度が高くない端末の接続は控えましょう。
ルーターで定められている上限を超えなくとも、上限に近づけば通信速度の低下を招くため注意が必要です。なるべく通信速度を落としたくなければ、同時に接続する端末の数は、定められている上限の8割程度に抑えることをおすすめします。
利用する時間帯を調整する
特定の時間帯に通信速度が低下する、つながりにくくなる、といったトラブルが発生するのなら、利用する時間帯を調整してみましょう。回線やプロバイダーの混雑が原因である場合、時間帯の調整によって解決する可能性があります。
光回線ユーザーは多いため、休日や特定の時間帯にネットワークが混雑しやすく、通信速度が遅くなるケースが少なくありません。実際、「NTTコミュニケーションズ」が公開している、「インターネットトラフィック(通信量)推移データ」を見ると、土日や夜20時以降は大勢のユーザーがインターネットを利用しているとわかります。
(参照元:https://www.ntt.com/about-us/covid-19/traffic.html)
「業務でインターネットを利用しているため、時間帯を調整するのは難しい」といったケースも考えられます。この場合には、大容量のデータをダウンロードするときだけ時間を変える、といった対策が有効です。
ルーターの設置場所を変える
ルーターの周りを壁が囲んでいる、近くに家電が配置されているなどの場合、電波への干渉による通信不良を招きかねません。周りに電波を妨害する障害物がないかどうかを確認すると共に、ルーターの設置場所を変えてみてください。
ルーターを床へ直置きすると椅子や机に電波が妨害されるおそれがあるため、床から1~2mほど高いところへ設置すると、電波が広範囲に届きやすくなります。
接続方法を変更する
通信不良の原因を特定できないのなら、接続方法も見直してみましょう。まず、無線LANで接続しているのなら、有線へ切り替えます。有線LANは無線に比べ大容量のデータをやり取りでき、通信も安定しやすい傾向があります。デスクトップPCを常に同じ場所で使用するなどのケースでは有線がおすすめです。
また、光回線の周波数帯を変更することで、速度の問題を解決できる可能性もあります。光回線の周波数帯、2.4GHzと5.0GHzは、それぞれ得意分野が異なります。2.4GHzは障害物に強いため遠くまで電波を届けやすい一方、混雑の影響を受けやすく通信が不安定になるケースもあることに注意が必要です。5.0GHzは、高速通信が可能であり通信の安定性も抜群であるものの、障害物に弱い特性があります。
双方の特徴をよく理解したうえで、自社にマッチしているほうを選択してください。
プロバイダーを変更する
頻繁にプロバイダー側でトラブルが発生する、アクセスの集中による混雑で通信速度が遅くなる、といったケースでは乗り換えも視野に入れてみましょう。端末やルーター、使用環境などを適切に整えても、プロバイダー自体に問題があれば通信の安定性は望めません。
プロバイダーを乗り換える場合、IPoEの通信方式を採用している事業者を選びましょう。IPoEとは、イーサネットを利用した通信方式です。従来のPPPoE方式と比べ、トラフィックの増加に伴う通信速度の低下が起こりにくく、安定した高速インターネットの利用が可能です。
光回線が遅い・つながりにくいといったケースでは、原因に応じた対策が必要です。自社の求める通信速度と、通信スタイルを踏まえ、本記事で紹介した対策を試してみてください。
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