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リモートアクセスとは? メリットやセキュリティ対策、サービスの選び方をわかりやすく解説
新型コロナウイルスの感染拡大や働き方改革の推進を受け、リモートワークを導入する企業が増えました。リモートワークでオフィスと同様に業務を遂行するには、リモートアクセスのような仕組みの構築が欠かせません。本記事では、リモートアクセスが重視されている理由や利用するメリット・デメリット、サービスの選び方などを解説します。
リモートアクセスとは
リモートアクセスとは
リモートアクセスとは、離れた場所にあるコンピューターやシステムにアクセスすること、またはその仕組み・技術を指します。
リモートアクセスが重要視されている要因
リモートアクセスが重要視されている背景には、多様な働き方や緊急時への柔軟な対応、これまでも問題になっていたセキュリティリスクへの対策などがあります。代表的な要因を、具体的に紹介します。
リモートワーク人口の増加
リモートアクセスが重要視されている理由の1つが、リモートワーク人口の増加です。ここ数年で、多くの企業がリモートワークの導入に踏み切りました。そのきっかけは、新型コロナウイルスの感染拡大です。
世界中で感染者が続出した新型コロナウイルスは、日本でも猛威を奮いました。その結果、多くの企業が感染リスクを抑えるために、リモートワークの導入を進めました。実際、総務省が公表した資料によると、それまで17.6%の実施率だったリモートワークが、初めて緊急事態宣言が出されたあとは56.4%まで跳ね上がっています。
(参照元:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd123410.html)
また、国土交通省が調査を行い公開した資料からも、リモートワーク人口の増加は明らかです。資料によれば、勤務先にテレワークが導入されていると答えた方の割合は40%となっています。さらに、令和3年度におけるテレワークの実施頻度に関しては、週に1日以上テレワークを実施している方の割合が約78%となりました。
そして、導入したリモートワークを一時的なものでは終わらせず、新たな働き方の手段として採用を継続する企業が増えてきています。以前より労働人口の減少に伴って働き方改革が呼びかけられていたこともあり、せっかく導入したのならより有効的に活用しようと考える企業が多いようです。フルリモートや、オフィスへの勤務と組み合わせたハイブリッド型など、リモートワークの制度には企業独自の工夫が見られます。テレワークの継続意向では、約89%が感染症対策や通勤の負担軽減、時間の有効活用などを理由に継続の意向を示しています。
オフィス以外の場所で業務に取り組むリモートワークでは、急に社内で保有するデータが必要になるようなシーンでの対応が困難です。その際にリモートアクセスを導入していれば、外部から社内のデータへアクセスできるため、オフィスで勤務している時と同じような対応が可能になります。
国土交通省 令和3年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果-
情報漏洩のリスク
企業が回避すべきリスクの1つに、情報漏洩が挙げられます。企業はさまざまな情報を扱っており、なかには外部に流出させてはならない重要な情報も存在します。たとえば、顧客の個人情報や独自の技術、蓄積してきた事業のノウハウなどが代表的です。
従業員が社内のデータを自宅に持ち帰ったり、出張のために持ち歩いたりすると、情報漏洩リスクが高まります。具体的には、機密情報を管理しているPCを駅のホームやカフェなどに置き忘れて紛失する、盗難に遭うといったケースが考えられます。
実際、上記のようなケースは珍しくありません。たとえば国内の総合病院では、業務で使用していたノートPCを紛失し、それによって患者の個人情報が外部へ漏洩したおそれがあると公表しました。
(参照元:https://cybersecurity-jp.com/news/49531)
また、総合不動産管理会社では、元従業員が組織で管理していた顧客の個人情報を不正に持ち出し流出させています。こちらのケースでは、2019年から2020年にかけて、数千人にも及ぶ個人情報が外部へ流出する事態となりました。
(参照元:https://www.tokyu-com.co.jp/cms_wp/wp-content/uploads/2021/03/202103296%E3%80%802.pdf)
情報漏洩が発生すると、顧客や取引先に迷惑をかけるのはもちろん、自社も相当なダメージを負います。適切に情報管理を行えない企業と認識され、社会的な信頼も失いかねません。顧客や取引先からも信用されず、事業継続が困難になるおそれすらあります。
このようなリスクを回避するためにも、従業員が容易に社内の情報を持ち出せないような仕組みづくりが必要です。
BCP対策
BCP対策とは、企業の存続や事業の継続が脅かされる事態に陥った際、可能な限り被害を少なくし、事業を継続するための対策です。たとえば、大型台風や地震に伴う津波によって拠点が使用できなくなった、大規模なテロが発生した、といったケースでは事業の継続が困難となりかねません。
大規模な自然災害が発生したとなれば、通常通りの業務遂行は困難です。無理に出社しようとした従業員が災害に巻き込まれでもすれば、貴重な人材をも失うおそれがあります。自然災害や大火災などが発生した際に、従業員が出社せずとも業務を遂行できる環境や体制が企業には求められます。その体制としてリモートアクセスによる作業環境と運用ルールを整えておくことが、重要なBCP対策の1つとなります。
日本に拠点を構える企業であれば、適切なBCP対策に必ず取り組むべきです。なぜなら、日本は世界的に見ても自然災害が多く発生する国であるためです。台風や豪雨、地震、豪雪など日本ではさまざまな災害が発生し、ときに甚大な被害をもたらすことも珍しくありません。
今後30年以内に巨大地震が日本を襲う、との説も唱えられています。100~200年周期で発生している南海トラフ地震が高い確率で発生すると考えられているため、個人だけでなく企業も今からそのときへの備えが必要です。
リモートアクセスを導入するメリット
リモートアクセスの導入によって、リモートワークを推進できます。また、どこからでも社内のデータへスピーディーにアクセスできるようになるため、業務効率化につながり、BCP対策やコスト削減を実現できるのもメリットです。
リモートワークを推進できる
リモートアクセスの導入によって、リモートワークの推進が可能です。リモートワークを推進するには、オフィス以外の場所から社内のデータやシステムにアクセスできる環境が不可欠です。環境が整備できていないと、必要なデータの取得やシステム利用のためにわざわざ出社しなくてはならない、といった事態が発生します。
リモートアクセスが可能になれば、自宅でオフィスと同じように業務を遂行できます。通勤時間や外出先への移動時間を別の業務に充てられるため、業務効率化による生産性向上を実現可能です。
リモートワークを導入できる環境が整えば、働き方改革の推進にもつながります。従業員は柔軟かつ自由度が高い働き方が可能となり、ワークライフバランスの向上効果も期待できます。
優秀な人材を獲得しやすくなるのもメリットです。リモートワークで働ける企業であれば、さまざまな事情で出社が難しかった層を戦力として採用できます。遠方の方でも働いてもらえるため、遠隔地にいる優秀な人材の確保も可能です。
日本の少子高齢化は著しく、それに伴い労働人口も減少の一途をたどっています。今後、企業は今まで以上に人材の確保が難しくなると考えられるでしょう。一方、リモートワークを導入し働き方改革を推進すれば、場所にとらわれることなく優秀な人材を確保できます。
BCP対策が実現する
リモートアクセスの導入によって、従業員がオフィスに出社せずとも業務に取り組める環境が整います。地震や大火災など不慮の事態が発生しても、従業員は自宅から社内のデータやシステムにアクセスできるため、普段通りの業務遂行が可能です。
また、従業員のリスク回避にもつながります。大災害やテロなどが発生した状況で、従業員がオフィスへ出社しようとすると、危険に巻き込まれかねません。増水した川の水に流される、津波に巻き込まれる、地震に伴う建物の崩落によりケガをする、といったリスクから従業員を守れます。
重要なデータや書類の紛失、破損などを防げるのもメリットです。たとえば、リモートアクセス環境の整備に併せてクラウドストレージも導入し、クラウド環境でデータを保管すれば、地震や津波で拠点が甚大なダメージを負っても、データや書類の紛失などを回避できます。
このように、リモートアクセスの導入によって企業のBCP対策が実現します。組織が事業を継続するのに必要な資産はもちろん、従業員も守れる環境が整うのは大きなメリットです。
コスト削減に繋がる
コスト削減を実現できるのも、リモートアクセス導入によるメリットとして考えられます。業務で使用するすべてのPCに必要なアプリケーションをインストールするとなれば、相当な費用が発生するでしょう。使用するアプリケーションが高価ともなれば、さらにトータルのコストが増大します。
リモートアクセスの導入により、アプリケーションの数を減らせます。オフィスで使用する端末にのみインストールし、出張時には従業員個々のデバイスからリモートアクセスでアプリケーションを利用する、といったことが可能になるためです。
また、場所を問わず業務を行うことで、移動にかかるコストも削減できます。効率的に業務を行えるようになり、残業代などの人件費を削減できる可能性もあります。リモートワークの推進によってオフィスに出社する従業員が減れば、オフィスの縮小を検討することも可能でしょう。ほかにも光熱費や通信費など、リモートアクセスの導入で見直せるコストは数多く存在します。
リモートアクセスを導入するデメリット
さまざまなメリットがあるリモートアクセスですが、デメリットもあることを意識しておかなければなりません。想定される主なデメリットとしては、ネットワークの動作が遅くなる可能性があることと、セキュリティリスクが挙げられます。
ネットワークの動作が遅くなることも
リモートアクセスはオンラインを介して利用するため、ネットワーク環境で動作が左右されます。どのような方法を用いるかにもよりますが、ページの読み込みが遅くなったり、操作にラグが生じたりといった弊害をもたらすおそれがあります。快適な操作が損なわれることで、従業員はストレスを感じてしまうかもしれません。ストレスはモチベーションの低下を招き、業務効率や生産性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを回避するために、リモートアクセスを利用する際は、快適に操作できる通信環境の整備が不可欠です。今の通信環境でリモートアクセスの導入が難しいのであれば、より高速なインターネット環境に乗り換えることも検討しましょう。
セキュリティリスクがある
リモートアクセスの導入によって、従業員は社内のデータを外部へ持ち出すことなく、業務に取り組める環境が整います。そのため、従業員がデータを持ち出した末の紛失・盗難といった事態は回避できます。
一方、リモートアクセスにはネットワークを介したリスクがあるため、注意が必要です。オンラインでシステムへのアクセスやデータのやり取りを行うため、そこにセキュリティリスクが介在します。
代表的なリスクとして挙げられるのは、不正アクセスです。不正な手段を用いてシステムに侵入され、重要な情報を詐取されるおそれがあります。情報を奪われずとも、自社サイトのコンテンツを改ざんされた結果、企業としての社会的信頼を失うといったリスクも考えられます。
また、従業員が使用している端末がマルウェアに感染し、そこから社内システムへと感染が拡大するリスクもあるため注意しなくてはなりません。マルウェアにはさまざまな種類があり、基本的にどれも悪意のもと作成されたものがほとんどです。感染すると、情報の流出やデータの破壊などの被害を受けるほか、社内システムからさらに感染が拡大するおそれもあります。
このようなリスクを回避すべく、リモートアクセス環境にはセキュリティリスクが介在することを正しく理解し、そのうえで適切な対策を行わねばなりません。リモートアクセスの接続方法には種類があるので、セキュリティに強い接続方式を採用しましょう。その接続方法では業務に不都合が生じるという場合は、セキュリティソフトの充実やIP制限などで別に対策を立てる必要があります。リモートアクセスの導入に外部サービスを利用するのであれば、セキュリティ対策の機能が充実したものを選ぶことが重要です。また、これらの対策を複数行っておくと、より安全な環境を実現できます。
リモートアクセスの方法を分類
リモートアクセスの方法を分類
リモートアクセスにはいくつかの方法があります。それぞれの方法により、通信の仕組みや特徴、潜在するリスクなどが異なります。導入にあたっては、各方法の特徴を把握したうえで検討を進めるとよいでしょう。
リモートアクセスサービス(RAS)
RAS(Remote Access Service:リモートアクセスサービス)とは、インターネット回線を用いて、遠隔地から社内のシステムやコンピューターなどへアクセスする方法のことです。RASを利用することで、従業員はオフィス以外の場所からでも、データファイルのダウンロードや端末の遠隔操作が可能です。
RASは、一般回線を用いてリモートアクセスすることが特徴です。一般回線は不特定多数の人が利用するため、セキュリティリスクが生じます。そのため、RASを利用する際は徹底したセキュリティ対策が求められます。なお、近年は後述するVPNや仮想デスクトップなどが主流であるため、あまり使われていません。
VPN接続
VPN(Virtual Private Network:仮想専用通信網)は、インターネット上に構築した仮想ネットワークを用いて通信を行う仕組みです。VPNは暗号化された仮想ネットワークであるため、安全に利用できる点がメリットです。
不特定多数が利用する一般回線には、どうしても盗聴や改ざんといったリスクがつきまといます。一方、VPNは専用のネットワークであるため、上記のようなリスクを軽減できます。
ただし、VPNだからといって完璧なセキュリティを実現できるわけではありません。利用するVPNサーバーのセキュリティが脆弱な場合は、盗聴や改ざんなどのリスクが発生します。また、海外のVPNサーバーを利用するケースでは、通信速度が遅くなるおそれもあるため注意が必要です。
VPN接続について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
リモートデスクトップ(RDS)
RDS(Remote Desktop Services:リモートデスクトップサービス)とは、ブラウザーの機能や専用ソフトウェアなどを利用し、社内のPCを遠隔から操作する技術のことです。Windows 10やGoogle Chromeにはリモートデスクトップの機能があり、設定を行うことですぐに導入できます。
社内のネットワークに直接アクセスするわけではないため、比較的安全に利用できることがメリットです。また、従業員が自宅で使用したPCにはデータが残らないため、情報漏洩も回避できます。
RASよりは安全であるものの、RDSにも一定のセキュリティリスクは存在します。リモートデスクトップを狙ったマルウェアが存在するほか、脆弱性を狙ったサイバー攻撃も増えています。また、オフィスのPCがシャットダウンしてしまうと遠隔操作できなくなるのもデメリットです。
仮想デスクトップ(VDI)
VDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ)は、OSやアプリケーションをサーバー上で稼働させる仕組みです。VDIであれば、必要最小限の機能しか有していない端末にオフィスのPC環境を反映でき、遠隔地でもオフィスと変わらない環境で業務を行えるようになります。
VDIでは、利用者ごとに仮想マシンを構築して割り当てます。すべての使用者がサーバーOSを共有するRDSとは、この点が大きく異なります。
VDIのメリットは、強固なセキュリティ環境のもとで利用できることです。従業員が使用する端末は、あくまで操作をするためのものであり、データはほぼ残りません。そのため、万が一紛失した際にも、情報を奪われる心配がありません。
また、サーバー上でOSやアプリケーションを一元的に管理できるため、管理者の負担を軽減できるのもメリットです。セキュリティ対策も端末ごとに行う必要がありません。
API接続
API(Application Programming Interface)とは、プログラムやソフトウェアを接続できるサービスを指します。プログラムやソフトウェアを連携させることで機能を拡張し、より便利に使えるようになるのがメリットです。
使用したいプログラムがすでにAPIで公開されている場合、それをそのまま使用できます。わざわざプログラムを開発する必要がなく、手間と時間の削減が可能です。また、簡単な設定のみで導入できるメリットもあります。
API接続について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
リモートアクセスではセキュリティ強化が重要
リモートアクセスの導入により、少なからずセキュリティリスクは高まります。そのため、導入と運用においては適切なセキュリティ強化の対策が必要です。
警察庁が公開した資料によれば、2017年には1万件を切る数字だったフィッシング詐欺の報告が、2020年には22万件を超え、2021年には52万件をオーバーしました。また、ランサムウェアの被害を受けた企業や団体は、2020年下半期に21件だったところが、2021年上半期には61件、下半期には85件と右肩上がりで増加しています。
(参照元:https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R03_cyber_jousei.pdf P4、P11)
サイバー攻撃の脅威には、国も警鐘を鳴らし続けています。総務省もサイバー攻撃に関する資料を公開しており、データにもとづく注意喚起をしているような状況です。
総務省が公開した「サイバー攻撃の最近の動向等について」によると、不正アクセス行為の認知件数はここ数年で大きく増加しています。2017年には1,202件だったのが、翌年には1,486件、2019年には2,960件となっており、相当な増加率です。
同様にフィッシングの届け出件数も、2018年の19,960件から2019年には55,787件と、約2.8倍に増加しました。このように、企業を取り巻く環境は決して安全とは言い切れません。リモートアクセスの導入や運用においては、徹底したセキュリティの強化が求められます。
リモートアクセスのセキュリティ対策方法
安全にリモートアクセスを利用するには、セキュリティ対策が欠かせません。情報漏洩や改ざんなどの発生により、企業としての社会的な信頼を一度失うと、そこから回復するのは困難です。そのような状況に陥らないよう、徹底したセキュリティ対策を行う必要があります。
情報セキュリティポリシーを定め定期的に見直す
情報セキュリティポリシーとは、情報セキュリティに対する基本的な指針です。セキュリティ対策に関する方針や基準が定まっていないと、セキュリティリスクを招きます。リモートワーク環境下におけるセキュリティの基本方針や、具体的なルールをあらかじめ決めておくことが大切です。
セキュリティポリシーを策定する際には、基本方針と対策基準、実施内容を決めます。考えられるリスクの抽出と分析を行ったうえで、具体的な実施内容を決めていきましょう。策定時には、誰を対象にするのかを明確にし、具体的かつ実現可能な内容にしなくてはなりません。
セキュリティポリシーとして定めた内容を従業員に周知することも大切です。また、PDCAサイクルを回しつつセキュリティ対策のブラッシュアップも図りましょう。
情報の重要度によってテレワークでの利用可否を定める
重要な情報が外部に漏洩すると、企業に大きなダメージを与える可能性があります。そのため、情報の重要度によって、データの扱い方を変えなくてはなりません。
たとえば、機密性の高い情報はリモートワークで扱わない、といった対策が考えられます。顧客情報や取引先との契約内容、独自のノウハウといった情報が漏洩すると大変な事態に陥ります。このような情報については、より厳重な対策を採る必要があるでしょう。運用ルールを策定するだけではなく、リモートアクセスによるファイルの転送を無効にしたり、外部の端末に閲覧履歴などを残さないアクセス方式を利用したりすることで、ネットワーク側の設定も強固にしましょう。
情報ごとにアクセス権限を付与するのも有効です。機密性の高い情報に誰でもアクセスできる状況では、いつ情報漏洩が発生しても不思議ではありません。外部の人間ばかりか、内部不正による漏洩が生じるおそれもあります。このようなリスクを回避するため、情報の重要性に応じてアクセス権限を付与するとよいでしょう。重要度に応じたレベル分けをしたうえで、個別にアクセス権限を付与するのが効果的です。外部から参照することもリスクとなる情報であれば、オフィス内の端末からのみアクセスを許可するといった、場所による制限も対策になります。
オフィスワークとテレワークの強みをうまく組み合わせて、臨機応変な対策を講じていきましょう。
従業員に教育を行う
ルールを策定しても、従業員に浸透していなければ意味がありません。また、ルールそのものは浸透していても、ルールを守る必要性が理解できていなければ、セキュリティリスクを高めるおそれがあります。
サイバー攻撃にも目を光らせる必要がありますが、従業員が原因で情報漏洩を招くケースも少なくありません。仕事で使うPCを家族と共有する、うっかりIDやパスワードを口外するなどのリスクが考えられます。
このような事態を回避するためには、従業員に徹底した教育を施す必要があります。「どのようなセキュリティリスクがあるのか」「なぜ対策が必要なのか」「万が一情報漏洩などが発生した場合、何が起きるのか」といったことを伝え、理解してもらわなければなりません。
一度や二度、口頭で説明しただけでは不十分であるため、定期的な研修や勉強会を開催して、従業員の意識を高めましょう。研修では、サイバー攻撃の実例や最新のセキュリティ事故などを伝えるのも有効です。
VPNやSASEを活用する
VPNは、比較的安全に利用できるサービスです。「トンネリング」と呼ばれる技術を用いて、拠点間を仮想的に隔絶したネットワークを構築するため、マルウェアへの感染や不正アクセスなどの防止に役立ちます。
一方で、VPNはネットワークの安全性こそ高いものの、リモートワークに使用している端末に脆弱性があった場合、マルウェアへの感染を招くおそれがあります。そのため、VPNだからといって安心するのではなく、端末にも徹底した対策が必要です。
リモートアクセスのセキュリティ強化には、SASE(Secure Access Service Edge)の活用も有効です。ゼロトラストネットワークアクセスやファイアウォールなど、さまざまなセキュリティ機能を備えたソリューションを利用できます。
SASEについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
「ゼロトラスト」でセキュリティを強化
ゼロトラストとは、「何も信用しない」を前提としたセキュリティの考え方を指す言葉です。従来は、外部からのアクセスのみを脅威とし、内部は信用する傾向がありました。しかし、近年はリモートワークが普及したことにより、単純に境界を設けてセキュリティを確保することが難しくなりました。
リモートアクセスを導入した場合、システム外部からのアクセスが、内部の人間であるのか悪意を持った外部の人間か、という区別がつかない可能性があります。ゼロトラストにもとづかないセキュリティ対策では、内部は安全と考えるため、悪意を持つ第三者やマルウェアに侵入されてしまうおそれがあります。
このようなリスクを回避するためには、境界を設けずにすべてを疑ってかかるゼロトラストの考え方が必要です。内部の人間による情報漏洩なども回避できます。
ゼロトラストについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
リモートアクセスサービスを比較するポイント
リモートアクセスサービスを比較する際には、料金形態や操作性、接続先、接続タイプなどをチェックしましょう。また、セキュリティ対策はどうなのか、パッケージ型かカスタマイズ型か、といった部分も要チェックです。
料金形態はどうなっているか
リモートアクセスサービスの導入を検討する際は、まず料金形態をチェックしましょう。サービスごとに料金形態が大きく異なります。
たとえば、月々決まった金額で利用できる定額制と従量課金制の違いがあります。前者は毎月決まった料金しか発生しませんが、後者は利用した分のみ料金が発生します。
ほかにも、利用者数によって年間契約が必要なサービスや、買い切り型のリモートアクセスサービスもあります。海外のサービスであればドルで支払わなければならないケースもあるため、注意が必要です。
操作性はどうか
操作性が自社に合わない場合、利用する従業員がストレスを感じてしまうおそれがあります。業務効率を低下させる可能性もあるため、リモート環境下での操作性をチェックしましょう。
リモートデスクトップは、オフィスのPC画面を転送する性質上、表示の遅延が生じるケースが少なくありません。操作にラグが生じて快適性を損ねる可能性があるため、フレームレートを事前にチェックしましょう。
リモートアクセスを利用する従業員の作業環境はさまざまです。端末や回線が個々で異なると考えられるため、どのようなアクセス環境であっても問題なく作業を行えるかどうかの確認が必要です。
接続先や接続タイプはどうか
リモートアクセスサービスの接続先には、「サーバーアクセス型」と「クライアントアクセス型」の2種類があります。前者は、個人の端末から社内のサーバーへアクセスする方式で、後者は個々の端末から社内の端末へダイレクトにアクセスする方式です。
サーバーアクセス型は、端末に使用したデータが残ることがあり、情報漏洩のリスクが高まります。そのため、適切なセキュリティ対策が欠かせません。クライアントアクセス型は、オフィスのPCと同じ環境で作業できますが、オフィスのPCがシャットダウンすると何もできなくなってしまいます。
接続タイプには、「社内LAN延長接続タイプ」と「Webアプリ限定接続タイプ」があります。前者はVPNで接続し、後者はWebアプリを用います。接続タイプによって特徴が異なるため、事前の確認が必須です。
セキュリティ対策はどうか
リモートアクセス環境を構築すると、ネットワークを使用するためどうしてもセキュリティリスクが高まります。情報漏洩やデータの破損といった被害に見舞われるおそれがあるため、サービスを選ぶ際には、安全に利用できる技術や機能が実装されているかどうかを確認しなくてはなりません。
セキュリティ対策に有効な技術として、通信の暗号化が挙げられます。通信の暗号化技術として有名なのはSSLで、ブラウザーとサーバー間における通信を暗号化することで、不正なデータの取得・改ざんなどを回避できます。
また、操作ログを管理できる機能もセキュリティ対策に有効です。管理者は、従業員がシステム上でどのような操作を行ったのか、どのデータへアクセスしたのかといったことを把握できます。万が一、内部から情報が漏洩した際にも、操作した従業員をいち早く突き止められるため、被害が大きくなるのを防げます。
リモートアクセスサービスによって、セキュリティレベルの水準や実装している機能などは大きく異なるため、事前の確認が必須です。自社がどの程度のセキュリティレベルを求めるのかも考慮したうえで、ベストなサービスを選択しましょう。
パッケージ型かカスタマイズ型か
サービス提供形態は、大きく分けて「パッケージ型」と「カスタマイズ型」の2つが挙げられます。前者は、環境の構築や運用に必要なものがセットで提供されているタイプであり、スピーディーに導入できる点が魅力です。
パッケージ型は、すでにシステムとして完成されているため、導入環境さえ整っていれば短期間で運用を開始できます。どういったシステムにするのか、どこまでの範囲をカバーするのか、といったことを業者と打ち合わせする必要もなく、スムーズな導入と運用が可能です。
また、コストを抑えやすいのもメリットです。いちからシステムを開発するわけではなく、規制品としてリリースされているシステムを利用するため、安価で導入できます。
一方のカスタマイズ型は、自社の課題や達成したい目的など、ニーズに合わせて環境を構築できる点が魅力です。自社の状況に合わせてフレキシブルに組み合わせ、理想的な環境を構築できます。反面、パッケージ型に比べてトータルでのコストが高くなるデメリットがあるため、注意が必要です。
パッケージでの提供だから設計や運用の手間いらず!「らくらくソリューション ストレージ・リモートアクセスサービス」
「らくらくソリューション ストレージ・リモートアクセスサービス」は、これ1つで企業が抱えるICTに関するさまざまな課題を解決できるサービスです。導入によってセキュアなリモートアクセス環境を構築でき、オフィスからも自宅からもクラウドストレージで管理されているデータへアクセスできます。
パッケージで提供されているサービスであるため、面倒な設計や運用が不要な点がメリットです。自社における課題を解決するのに、異なるタイプのサービスを複数導入・設計・運用するといった必要がなく、これ1つで課題の解決につながります。
本サービスであれば、クリック操作のみでシステム設計が可能です。複数サービスを横断した連携も必要ないため、社内に専門的な知識を有する人材がいなくても、容易にリモートアクセス環境を構築できます。
自由にカスタマイズして運用するなら「Flexible Remote Access」
「Flexible Remote Access」も、場所にかかわらず必要なデータへセキュアにアクセスできるサービスです。業務で使用するデバイスへツールをインストールするだけなので、面倒なシステム構築も必要ありません。
サービスを介してWebやクラウドへセキュアにアクセスできるのはもちろん、閉域ネットワークからネットワーク接続基盤にアクセスして、クラウドやデータセンターへ接続することも可能です。また、外部認証基盤との連携にも対応しており、自社に合わせたカスタマイズができます。
さらに、堅牢なセキュリティも魅力です。デフォルトで多要素認証が実装されているほか、アンチウイルスやファイアウォールなどの機能もあるため、サイバー攻撃のリスクを回避できます。ログ管理によって従業員の操作ログも取得できるため、セキュリティリスクの軽減が可能です。
まとめ
リモートアクセスの利用により、リモートワークの導入や働き方改革の推進が実現し、業務効率化や生産性の向上、優れた人材の確保などさまざまなメリットが得られます。反面、セキュリティリスクが高まるおそれがあるため、その点には注意が必要です。
リモートアクセスサービスを選定する際は、料金形態や操作性だけでなく、サービス提供形態やセキュリティ対策をチェックしたうえで検討しましょう。本記事でご紹介した2つのサービスも、この機会に選択肢の1つに加えてみてはいかがでしょうか。
この記事の目次
- リモートアクセスとは
- リモートアクセスが重要視されている要因
- リモートアクセスを導入するメリット
- リモートアクセスを導入するデメリット
- リモートアクセスの方法を分類
- リモートアクセスではセキュリティ強化が重要
- リモートアクセスのセキュリティ対策方法
- 「ゼロトラスト」でセキュリティを強化
- リモートアクセスサービスを比較するポイント
- パッケージでの提供だから設計や運用の手間いらず!「らくらくソリューション ストレージ・リモートアクセスサービス」
- 自由にカスタマイズして運用するなら「Flexible Remote Access」
- まとめ
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