日本郵便株式会社
(ゆうパック 送り状印字システムサポートセンター)
クラウド化により通信環境を短期間で構築
コール状況を可視化しCS向上に活用
日本郵便株式会社
郵便・物流営業部 係長
福地 真一郎 氏
「クラウドサービスの活用により、迅速なコールセンターの構築ができました。今後は業務改善効果も期待しています」
課題
コールセンター移転に伴って
「通信設備(PBX)をどうすべきか」が問題に
多くの日本人にとって馴染み深い手紙やはがき、「ゆうパック」のほか「ゆうメール」や「スマートレター」など、さまざまな郵便サービスを展開している日本郵便株式会社。近年はインターネット通販の商品配送にも力を入れており、たとえばインターネット通販事業者を主なターゲットとした「ゆうパケット」を2014年から提供。楽天市場で購入した商品を全国のローソン店舗で受け取ることができる「コンビニ受取りサービス」も行っている。
さらに同社では、荷物の発送にかかる負担を軽減するサービスとして、送り状印字ソフトである「ゆうパックプリントR」と、Webサイト上からあて名ラベルを印刷できる「Webゆうパックプリント」を無料で提供。これらを利用すれば、その都度手書きで送り状を書く必要がなくなり、発送時の負担が大幅に軽減できるという。
2013年4月に立ち上げられた送り状印字システムサポートセンターは、ゆうパックプリントRとWebゆうパックプリントの電話サポートを行うための組織であり、1カ月あたり6,000 ~ 7,000件の問い合わせに対応している。
送り状印字システムサポートセンターは、これまで運営していた拠点の契約期限が切れることに伴い、2015年4月渋谷郵便局に移転。移転に当たってはPBX(構内交換機)をどうするかが大きな課題だったと、郵便・物流営業部の福地真一郎氏は振り返る。
「移転先は渋谷郵便局内のスペースになりましたが、設置されていたPBXは空きポートが無く回線の追加が難しい状況でした。そこでNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)から提案されたのがクラウド型PBXサービス『Arcstar Smart PBX』でした」
Arcstar Smart PBXはPBXの機能をクラウド上で提供するサービスで、オフィスにPBXを設置せずに内線機能を利用できる。企業の内線網の構築に使われているほか、コールセンターでも採用されている。そこで福地氏は、オンプレミス型のPBXとクラウド型PBXの比較検討を行った。
「オンプレミス型のPBXかクラウド型PBXかの選択で、決め手になったのは場所の問題です。今回、渋谷郵便局内に移転することになりましたが、コールセンターの拡張などでまた移転する可能性がありますし、そもそもスペースの問題で大きなPBXを設置するのも困難でした。これらを考えたとき私たちのニーズにマッチしているのは、比較的容易に導入することができ、オフィスの移転などに柔軟に対応できるArcstar Smart PBXであると判断し、導入を決意しました」
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対策
クラウド型PBXの導入により
わずか1週間でコールセンターを構築
このコールセンターの移転では、スケジュール面の課題もクリアする必要があった。既存のコールセンターを24時間稼働させつつ、移転先スペースが使える1週間で環境を整えてサポート業務を開始する必要があった。福地氏は当時の状況を次のように話す。
「現在私たちが使っている場所は、もともと別の部署で利用していましたので、その部署の移動後1週間でコールセンターの環境を整える必要があったのです。非常にタイトなスケジュールでしたので、オンプレミス型のPBXでは、1週間での構築は現実的には難しかったでしょう。クラウドサービスだったから対応できたと思っています」
オンプレミスで環境を構築する場合、PBXやビジネスホンをはじめとする機器の搬入と設置、設定などが必要になる。しかしクラウド型PBXの場合は、ネットワーク回線が敷設されていれば迅速な導入が可能だ。このメリットも今回の移転プロジェクトにおいて大きな意味を持った。また、将来的に拠点の移転や新設が必要になった場合、PBXの物理的な移動などの作業が不要なため、容易に対応できることも利点と捉えられている。
図:送り状印字システムサポートセンターのシステム構成イメージ
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効果
クラウド化によりPBXの設定も自ら容易に変更
移転や席数増にも柔軟に対応可能に
さらに福地氏は、クラウド化やナビダイヤルの機能による業務改善の効果も期待していると話を続ける。
「お客さまからのコールに対する応答率の改善は重要な課題として取り組んでいます。ナビダイヤルのトラフィックレポートで応答率や接続完了率を可視化することにより、お客さまの満足度向上に向けた施策の検討に役立っています」と説明する。ナビダイヤルのトラフィックレポートでは応答状況を可視化できるので、時間帯により受付体制を変更するなど改善を図ることができる。そうした体制変更に伴う内線電話の追加を行う場合も、クラウド型PBXなら柔軟な設定変更が可能だ。
また、送り状印字システムサポートセンターでは、Arcstar Smart PBXに加え、クラウド上でFAXの送受信が可能な「BizFAX」や、クラウドを使って安全にファイルを共有できる「Bizストレージ ファイルシェア」も導入した。もともとクラウドを積極的に活用するといった考えはなかったが、結果的に“設備を持たない”コールセンターとなり、必要なときに必要なだけ利用できるクラウドのメリットを実感している。
なお日本郵便では、今後ゆうパックプリントRの機能拡充や新たな印字サービスの提供も検討しているとのこと。これにより「サポートセンターで対応すべき内容が増える」と福地氏は話した上で、「それらの課題に対処しながら、最適な環境づくりを進めていきたいと思います」と今後の抱負が語られた。
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導入サービス
Arcstar Smart PBX
Arcstar Smart PBXは、PBXやビジネスホンを使用せずに、クラウド上にあるIP電話サーバによりPBX機能と内線機能を実現するクラウド型PBXサービスです。
詳しくはこちらナビダイヤル
ナビダイヤルは全国統一の「0570+6桁」の専用番号で全国複数の拠点・オフィスでの受付を実現します。
詳しくはこちらArcstar IP Voice
Arcstar IP Voiceは、Arcstar Universal One、OCNなどNTTコミュニケーションズが提供する多彩なサービス上で利用できる高品質なIP電話サービスです。
詳しくはこちら日本郵便株式会社
資本金
4,000億円
従業員数
194,688名(2014年3月31日現在)
事業内容
郵便業務、銀行窓口業務、保険窓口業務、印紙の売りさばき、地方公共団体からの受託業務、前記以外の銀行業、生命保険業および損害保険業の代理業務、国内・国際物流業、不動産業、物販業などを行っている。
URL
http://www.post.japanpost.jp/
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(掲載内容は2015年12月現在のものです)
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