TOPPAN株式会社
コンタクトセンター改革でBPO事業の諸問題を解決
顧客満足度向上、業務効率化に向けたチャレンジを加速

TOPPAN株式会社
東日本事業本部 北海道事業部
北海道企画本部
BPR部 部長
今村大祐氏
「現在、通話音声のリアルタイムなテキスト化にトライアル中ですが、かなり精度が高いと感じています。今後はテキスト分析をベースとしてBPO業務のみならず、さまざまな領域で役立てていきたいですね」

TOPPAN株式会社
情報コミュニケーション事業本部
情報系製造統括本部
技術開発本部 札幌チーム
内山雄介氏
「ほぼ決め打ちでした。他の部門で導入しているサービスの情報も集めたのですが、Genesys Cloud CXの優位性が高い。ドコモビジネスの手厚い支援もあり導入もスムーズでした」

TOPPAN株式会社
東日本事業本部 北海道事業部
北海道企画本部
BPO運用部 課長
鈴木康太郎氏
「自然災害や感染症の流行でセンターの業務が止まったとしても、すぐ別拠点に環境を構築して対応できるクラウドならではの小回りのききやすさを評価しています。BCPの観点でも非常に有用です」
課題
札幌の市外局番「011」対応に大きな稼働とコストが発生
柔軟な席数増減、コールフロー変更に向けた刷新が急務に
TOPPAN株式会社は、印刷テクノロジーをベースとして情報コミュニケーション事業、生活・産業事業、エレクトロニクス事業の 3 分野で事業を展開。幅広い事業を手がけるグループシナジーを活かし、ワールドワイドでの社会課題の解決と企業価値最大化の取り組みを加速させている。同社の北海道事業部は、情報系、生活系の事業に加え、サイトや映像コンテンツの制作事業、そして企業や自治体のコンタクトセンター業務を受託するBPO事業などを手がけている。BPO事業の拡大に合わせて、同事業部では2020年にPBXをオンプレミスからクラウドへ移行した。
「インハウスのコンタクトセンターでは1度構築したシステムを長期間にわたり運用しますが、私たちのような受託のコンタクトセンターは少し事情が異なります。さまざまなお客さまのニーズに対応して短期間で立ち上げることが必須であり、しかも、業務に合わせて多様な機能を組み合わせ、繁閑に応じて規模を拡大したり、縮小したりする必要もあります。そのため、大前提としてシステムの柔軟性がきわめて重要になるのです」と語るのは、北海道企画本部 BPR部 部長の今村大祐氏(以下、今村氏)だ。
PBXのクラウド化で柔軟性の強化を図ってから約3年が過ぎ、地元自治体の顧客が増えたことなどの理由から従来のクラウド型コンタクトセンターサービスの限界が見えてきた。いくつかの解決困難な課題が顕在化し、BPO事業の運用が徐々に困難になっていたと明かすのは、技術開発本部 札幌チームの内山雄介氏(以下、内山氏)である。「自治体案件を推し進める上で0ABJ番号、いわゆる札幌の市外局番の“011”を使う必要があるのですが、現地にゲートウェイを設置して回線をつないで対応する複雑な構成になっていました。ここに大きなコストと稼働を割く必要がありました。しかも繁閑に応じて自治体窓口の席数を増減するにあたっても、席数のミニマム構成が200席以上の制約があり、そこから増席する場合にも申込書の提出が必要で非常に運用が煩雑だったのです」
加えて、簡単にコールフロー(顧客の電話問い合わせを適切なオペレーターに振り分ける一連の流れ)が変更できないことも課題となっていた。あらかじめ用意されたコールフローをコピーして使うことはできたが、大きく構成を変える際には専門的な知識が必要となるためだ。「外部への委託が必須となるため、そこにもかなり時間とコストがかかっていました。さらに新たな取り組みとして通話音声のリアルタイムなテキスト化も検討していたのですが、新サービスを実装するには毎月数百万の予算が必要でした」(内山氏)
これらの課題解決に向け、クラウド型コンタクトセンターサービスの見直しが急務になっていた。
対策
手厚いサポートが期待できるドコモビジネスをパートナーとして
すべての課題をクリアできる柔軟性の高いサービスを導入
クラウド型コンタクトセンターサービスの刷新にあたり、北海道事業部がパートナーに選定したのは電話まわりの音声系ネットワークなどで長い付き合いのあるドコモビジネスだ。「実はオンプレミス時代からNTTの電話回線やフリーダイヤル、ナビダイヤルなどのサービスを使っています。音声の品質、回線の信頼性、回線追加のスピード感などを高く評価しており、新たなサービスへの移行後も引き続き利用する意向があったためです。そこで、ドコモビジネスから複数のサービス提案を受け、グローバルでの豊富な導入実績をと持ち、いちばん私たちのニーズに合致していたGenesys Cloud CXの導入を決めました」(今村氏)
同事業部が選定した「Genesys Cloud CX 」は、AIを活用した最先端のクラウド型コンタクトセンターサービス。すべてのサービスをクラウド上に構築しているため、必要に応じて迅速に機能の拡張・縮小でき、新機能や最新テクノロジーをスピーディに導入できる特長を持っている。さらにドコモビジネスをパートナーに選定することで、Genesys Cloud CXの導入から運用・保守・サポートまでをワンストップで対応。短期間での立ち上げを実現し、長年にわたり蓄積したコンタクトセンター運用実績を活かした的確かつ継続的な運用サポートが受けられるメリットもある。従来の音声系ネットワークとの親和性の高さ、リーズナブルなバースト込みの一律料金で利用できることも、北海道事業部のニーズにフィットしていたという。
Genesys Cloud CXの導入にあたり、同事業部ではセンターでのトレーニング、テスト環境の構築により細かい調整を実施。その上で本番環境を立ち上げてスモールスタートで徐々に全社展開を図っていった。「初めは右も左もわからず、いろいろな設定などの相談で助けていただきました。おそらく契約以上の相談量だったと思います(笑)。おかげで新環境への移行が半年で完了できました」(内山氏)
コンタクトセンター運用を担当するBPO運用部 課長の鈴木康太郎氏(以下、鈴木氏)は、外部に委託することなく現場で細かい対応ができることに驚いたという。「実装されている機能が多いため、最初はとっつきにくい印象でした。しかし、実際に現場で使ってみると、すぐれたUIなどによりトレーニングはスムーズに完了しました。現場側も操作に慣れていくうちに、自らの手でお客さまのニーズに対応したフロー変更がしやすいなど、さまざまなメリットを実感できたと思っています」
現在、Genesys Cloud CXは北海道事業部への導入を皮切りに、同じくBPO事業を行う東日本事業部、中四国事業部にも導入。各事業部門のコンタクトセンター運営を劇的に改革している。

効果
設備設置不要で0ABJ番号の取得が1~2週間で可能に
洗練された機能が諸課題を解決、新たなチャレンジを後押し
Genesys Cloud CXに切り替えたことで、北海道事業部の抱える課題はきれいにクリアされた。最大の収穫は0ABJ番号の取得が容易になったこと、柔軟な席数の増減対応ができるようになったことだ。「これまでは現地にゲートウェイを設置して回線をつなぐ必要があったため、0ABJ番号の取得に数百万のコスト、数ヵ月の時間がかかっていました。現在は機器設置などのコストをかけることなく、1週間から2週間程度で取得できます。さらに契約席数の上限がなく、使った分だけの課金制のためムダなコストが発生せず、きわめて柔軟に席数の増減ができるようになったことも大きな効果です」(内山氏)
コールフロー作成、変更の内製化によるスピーディな対応とコスト削減も図れている。さらに通話音声をリアルタイムにテキスト化する機能をはじめ、多彩な機能が搭載されているため、追加のコストをかけることなく容易にトライアルがスタートできるようになった。実際の現場にも大きな変化が現れた。「全体的な入電状況などをモニタリングしやすくなり、かなり運用管理がしやすくなったと感じています。アウトバウンドの自動発信機能などを使い始めたことで業務効率も大幅に向上しました。現場からもインターネットに接続すればすぐに対応できるクラウドサービスなので取り回しやすいという声も出ています」(鈴木氏)
今後、同事業部ではGenesys Cloud CXを軸にコンタクトセンターをアップデート、さらなる顧客満足度の向上、業務の自動化、効率化に取り組んでいく計画だ。「AIの有効活用など、いろいろチャレンジをスタートしています。このような先進技術への対応は弊社だけでは困難なため、今後もドコモビジネスの知見をいただきながら、次世代コンタクトセンターに向けた取り組みを進めていきたいですね」(内山氏)
「今回の施策はきっかけに過ぎません。私たちTOPPANと同様にドコモビジネスも付加価値の高いさまざまなアセットをお持ちです。コンタクトセンターまわりに限らず、互いのアセットを掛け合わせた協業で社会課題の解決、お客さまの課題解決につながる新ビジネスを生み出したいと考えています」(今村氏)

TOPPAN株式会社 東日本事業本部 北海道事業部

TOPPAN株式会社

事業概要
「Digital & Sustainable Transformation」を基本方針に、情報系、生活系事業を中心に、サイトや映像コンテンツの制作事業、コンタクトセンター業務を受託するBPO事業なども手がけている。
URL
https://www.toppan.com/ja/
(PDF形式/2.22 MB)
(掲載内容は2025年3月現在のものです)
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