【法人向け】プロバイダーの乗り換え手順は? 選び方や注意点について解説
本記事では、法人に向けてプロバイダーの乗り換え手順や注意点、選び方などを解説しています。光コラボへの乗り換え手順やADSLなどからフレッツ光/光コラボへの乗り換え手順、法人向けプロバイダーを選ぶ際のポイント、プロバイダー乗り換え時の注意点などをくわしく説明しています。
法人向けプロバイダー乗り換え手順
【転用】フレッツ光から光コラボへの乗り換え手順
フレッツ光ユーザーが光コラボ(NTT東日本・西日本の光回線をプロバイダー事業者が借り受けて提供する光回線のサービス)へ乗り換えることを転用と呼びます。転用の手続きは以下の手順で行います。
(1)NTT東日本・西日本に「転用承諾番号」の発行を請求する
(2)光コラボのプロバイダーに契約を申し込む
(3)フレッツ光で利用していたプロバイダーとの契約を解約する
(4)新たに契約したプロバイダーの設定に変更する
転用承諾番号の発行は、NTT東日本・西日本のオフィシャルサイトから請求できます。続く手続きに必要な番号であるため、受けとったらメモ帳などへ控えておきます。なお、転用承諾番号の有効期限は15日間であるため、期限内に手続きを進める必要があります。
光コラボプロバイダーへの契約申し込みでは、取得した転用承諾番号を今回契約する事業者に伝えて手続きを進めます。契約先が決まっていない場合には、NTT東日本・西日本のオフィシャルサイトからプロバイダーを検索することも可能です。
光コラボプロバイダーとの契約が完了したら、現在利用しているフレッツ光プロバイダーとの契約を解約します。このとき先にフレッツ光プロバイダーとの契約を先に解約してしまうと、インターネットを利用できない期間が発生してしまうため、注意が必要です。解約手続きが完了したら、新たに契約したプロバイダーの設定に変更します。
【事業者変更】光コラボから別の光コラボへと乗り換える手順
光コラボは、事業者によって通信速度やサービス内容、月額料金、割引金額などが異なります。そのため、光コラボの事業者を変更することはめずらしくありません。現在利用している光コラボ事業者から別の光コラボ事業者に乗り換えることを事業者変更と呼びます。事業者変更の手続きは以下の手順で行います。
(1)現在利用している光コラボ事業者に「事業者変更承諾番号」の発行を請求する
(2)新しく契約する光コラボ事業者に「事業者変更承諾番号」を伝えて契約を申し込む
(3)新たに契約した光コラボ事業者の設定に変更する
事業者変更承諾番号の取得方法や期日などは事業者によって異なるため、事前に確認しておきます。事業者変更承諾番号の有効期限も上述の転用承諾番号と同様、15日間です。期限を過ぎると無効となるため注意してください。新たに契約した光コラボ事業者から開通の案内が通知されたら、手続きは完了です。事業者変更の場合には、これまで利用していた光コラボ事業者との解約手続きは不要です。新たな事業者へ乗り換えが完了した時点で、それまでの事業者との契約は自動解約されます。ただし、無線LANカードやWi-Fiルーターなどのレンタル品がある場合には、これまで利用していた光コラボ事業者に返却する必要があります。
【新規契約】ADSLや独自回線から光回線に乗り換える手順
フレッツADSLは2023年1月にサービスの提供を終了しています。ADSLのサービス終了にともなう乗り換えや、独自回線から光回線への乗り換えは新規契約に該当します。新規契約の際には手続きだけでなく、回線の開通工事も必要です。新規契約の手続きは以下の手順で行います。
(1)現在契約している回線を解約する
(2)フレッツ光または光コラボの乗り換え先光回線プロバイダーに申し込む
(3)光回線の開通工事を行う
(4)利用開始日になったら接続設定を行う
(5)レンタルしていた機器がある場合には、契約していたADSLまたは独自回線の事業者に返却する
乗り換え先の光回線プロバイダーがフレッツ光の場合には、オフィシャルサイトから24時間いつでも申し込むことができます。申し込みページへアクセスし、提供エリアの確認やプロバイダーの選択、必要な情報を入力・確認すれば申し込みが完了します。光回線の開通工事は、事業者から工事可能な日時を提案されるケースが多いため、自社の都合も考慮しながら、スケジュールを調整します。開通工事では原則立ち合いが必要ですが、場合によっては立ち会いが不要になることもあるため、事前に確認しておきます。
接続設定は、プロバイダーから提供されたIDやパスワード、ネットワーク機器などを用いて行います。プロバイダーによっては接続・設定方法に関するサポートを行っています。設定がうまくいかないときはオフィシャルサイトへアクセスして確認してみてください。
法人向けプロバイダーを選ぶ時の4つのポイント
1. 法人向け光回線サービスを選ぶ
個人向けの光回線サービスでも高速インターネットを利用することは可能です。しかし、個人向けサービスは、通信が不安定になることも少なくありません。一方、法人向けの光回線では、ビジネスシーンでも安心して利用できるよう、通信の安定性を確保しています。さらに法人向け光回線では一般的に、固定IPアドレスを利用できます。固定IPアドレスは、自社でVPNサーバーやサイトを運用するのに必要であり、セキュリティが堅牢なネットワーク環境を構築できます。
ベストエフォート型も選択肢の1つです。ベストエフォート型は、通信速度が保証されていないことから料金が安く、コストダウンにも有効です。後述するIPv6対応のベストエフォート型であれば、回線の混雑などを回避でき、快適にインターネットを利用できます。
2. IPv6(IPoE)対応のプロバイダーを選ぶ
インターネット通信のルールを定義したプロトコルの1つであるIP(Internet Protocol)では、これまで主流であったIPv4(Internet Protocol Version 4)ではなく、次世代型であるIPv6(Internet Protocol Version 6)対応のプロバイダーを選ぶこともポイントの1つです。全世界でのインターネット利用人口が50億人を超える状況のなかで、IPv4で割り当てられるアドレス数は約43億個であり、IPアドレス数が枯渇することからIPv6が開発されました。IPv6で割り当てられるアドレス数は43億の4乗(約340澗)であり、事実上、無限といって差し支えありません。日本では2011年6月にNTTフレッツ光ネクストがIPv6(PPPoE)接続を、同年7月にはIPv6(IPoE)接続の提供を開始しました。なお、v4/v6となっていますが、v6はv4の上位互換ではなく、両者の間に互換性はありません。
IPv4では、一般的にPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)という方式でインターネットに接続します。PPPoEは、電話回線を利用してダイヤルアップでインターネットに接続するPPP方式を、LANの規格であるEthernet(イーサネット)に対応させたものです。ADSLなどによるインターネットへの常時接続が登場した際にEthernetを利用する必要があったために開発されました。一方、IPv6では多くの場合、IPoE(IP over Ethernet)方式が利用されます。
PPPoEとIPoEとの大きな違いは理論上の最大通信速度です。PPPoEが1Gbpsであるのに対し、IPoEでは10Gbpsです。さらにIPv4接続のPPPoEではインターネットに接続するためにネットワーク終端装置(ONU)を経由する必要がありますが、通信料が増えてくるとONU付近でトラフィックが混雑し、通信速度が低下してしまう傾向があります。一方、IPv6接続のIPoEでは大容量のゲートウェイルーターを使用し、ネットワークが混雑している場所を回避してインターネットに接続します。現状では、PPPoEに比べてIPoEの方が通信速度の低下が発生しにくくなっています。
3. 回線・プロバイダーが一体となった光コラボを選ぶ
回線とプロバイダーを個別に契約すると2カ所から請求書が届き、経理担当者の手間が増えてしまいます。回線とプロバイダーとがセットで提供されている光コラボであれば、請求書は一本化され、経理処理の簡素化が図れます。さらに、回線とプロバイダーとの一体型であれば、問い合わせ窓口が一本化されます。回線とプロバイダーとを別々に契約していると、何かトラブルが発生した際に、どこへ連絡すればよいのかと悩んでしまいますが、光コラボであれば、そのような心配はありません。例えば問い合わせ窓口の件は、個人であれば大した問題ではないかもしれませんが、多数の処理をこなさなければならない企業にとっては、対応の遅れにもつながってしまいます。
4. 法人用途に耐えられるWi-Fi機器を導入する
新規契約であれば、Wi-Fi機器の導入も必要です。Wi-Fi機器を導入する際には、法人用途に耐えられるスペックを備えた製品を選定します。企業内でWi-Fiを使用する場合、確認すべき要件は、
- IPv6(IPoE)に対応しているか
- 11ax(Wi-Fi 6)に対応しているか
- 同時接続台数は何台か
- 使用量が増えても通信効率が低下しない性能があるか
- セキュリティ対策や管理機能は万全か
- ゲスト接続に対応しているか
といったことです。IPv6(IPoE)のメリットは前述の通りですが、最新のWi-Fi規格である11ax(IEEE 802.11ax)には、
- 通信速度が9.6Gbpsと速い
- 2.4GHz帯と5GHz帯の両方に対応している
- 複数の端末が同時接続しても通信が安定している
といった特徴があります。通信の暗号化規格も従来のWPA2から、よりセキュリティが強化されたWPA3に対応しています。
Wi-Fi機器には、家庭用と謳って販売されている製品と法人用と呼ばれる製品があります。例えば家庭用Wi-Fiルーターの場合、同時接続数は最大で10台程度までなのに対し、法人用では最大100台程度の同時接続が可能です。また、法人用ではもともと、数多くの端末から同時接続されることが前提で設計されているため、ある程度使用量が増えても通信効率は低下しないのに対して、家庭用では接続台数が増えるほど通信に遅延が発生してしまいます。
さらに、家庭用Wi-Fiルーターでは、1つのIDおよびパスワードしか使えないのに対し、法人用では認証サーバーと連携することにより、それぞれのユーザーで別のID/パスワードで接続できるようになっています。また、法人用では通信時の暗号化方式がより高度であったり、数多くのユーザーを管理しやすい画面が用意されていたり、従業員用と来客用のネットワークを分離して、来客にフリーWi-Fiを提供できるゲスト接続を搭載していたりといった違いがあります。企業でWi-Fi機器を導入する場合には、法人用と謳われている製品から選択することをおすすめします。
プロバイダー乗り換え時の5つの注意点
1. 乗り換えのタイミングによっては空白期間が生まれる
プロバイダーを乗り換えるタイミングに注意が必要です。新たな回線の申し込みが完了しても、すぐに利用できるわけではありません。場合によっては2週間以上の日数を要するケースもあります。既存の回線を解約するタイミングを誤ると、しばらくの間、インターネットに接続できない期間が発生してしまうため注意が必要です。個人であれば、インターネットに接続できないことは、多少生活が不便になる程度ですが、事業を営む企業にとって空白期間の発生は大問題です。自社サイトの運用や取引先・顧客とのメールなどでの連絡はもちろん、社内SNSを利用した従業員間の情報共有などもできなくなってしまいます。このような事態を回避するため、乗り換えのタイミングを見誤らないよう注意しましょう。
2. 旧プロバイダーのメールアドレスは利用できなくなる
プロバイダーのメールアドレスを利用している場合には、旧プロバイダーのメールアドレスは使えなくなります。小規模の企業や個人事業主などで、プロバイダーのメールアドレスを業務で使用しているのであれば、乗り換え先のプロバイダーから提供されたアドレスを利用しなくてはなりません。旧メールアドレスが使用できなくなることで、顧客や取引先に混乱を招くおそれがあります。メールを送信しているのに送れない、問い合わせへの返信がない、といった状況が発生してしまうため、メールアドレスが変わる旨を事前に周知しておかねばなりません。プロバイダーのなかには、メールアドレスのみを継続利用できるプランを設けているところもあるため、問い合わせてみてください。ただし、別途、費用が発生します。
3. IP電話が利用できなくなる
近年では、企業でもIP電話を利用するケースが増えてきました。IP電話はインターネット回線を利用して通話する電話サービスのことで、電話番号の先頭が「050」で始まっているものはIP電話です。少ない手間で導入でき、コストダウンにも有効です。プロバイダーを乗り換えると、プロバイダーから提供されていたIP電話は利用できなくなります。メールアドレスとは異なり、引き継ぎもできません。メールアドレスの変更時と同様、事前に取引先や顧客などへの周知が必要です。
4. タイミングによっては解約金が発生する
旧プロバイダーとの契約を解約するタイミングによっては解約金が発生することがあります。例えば契約期間が満了する前に解約を申し入れた場合や、契約更新月以外に解約を申し入れた場合が該当します。この場合は、契約で定められた解約金を支払わなければなりません。契約更新月がいつなのかを、事前に確認しておく必要があります。
5. 工事の残債を請求される場合がある
光回線の開通工事で発生した工事費用の残債がある場合には一括請求されることがあります。そのため、乗り換えを検討するのなら、工事費用の残債があるかどうかを確認しておく必要があります。一括で支払っていれば問題ありませんが、分割支払いを選択していた場合には残債がある可能性があります。
法人向けプロバイダーに乗り換えるなら
「OCN光 IPoEサービス ワイドプラン」
プロバイダーを選ぶ際には、法人向けのサービスを選択し、IPv6に対応しているかどうかを必ず確認してください。乗り換えのタイミング次第では、空白期間や違約金が発生するおそれがあり、注意が必要です。
おすすめなのは「OCN光 IPoEサービス ワイドプラン」です。PPPoE接続に対して6倍の速度(大容量収容設計)を実現しており、トラフィックが増加しやすいクラウド環境での利用にも適しています。IPv6 IPoEでの接続に加え、ネットワークの利用状況を可視化できるトラフィックレポートも利用できます。
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