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従来広く使用されてきたIT(情報技術)に加え、近年ではIoTという言葉を耳にする機会が増えてきました。IoTとは、”Internet of Things”の略称で、日本語に訳した場合は「モノのインターネット」を意味します。
従来のインターネットは、PCやスマホなど、専用の通信端末間で情報を交信するのが通例でした。しかし、通信技術の進歩に伴って、最近では、私達が日常生活において使用する家電も含め、ありとあらゆるモノにインターネットへの接続機能が搭載されつつあります。つまり、IoTとは、モノ同士をオンラインでつなげることで、離れたところにあるモノを操作したり、連携させたり、モノ同士の間に機能的なネットワークを構築することを可能にする技術なのです。
IoTより古く、それでいて部分的に重なる概念としては、M2Mという言葉があります。これは”Machine to Machine”の略で、機械から機械へ、人の手を介さずに自律的な連動制御を可能にする技術を意味します。たとえば、「センサーが感知した異常に反応して防犯ベルが鳴る」という自動警備システムは、M2Mの典型例であると言えます。
IoTとM2Mの違いとしては、IoTが機械間の接続方法として、インターネットの運用を前提にしているのに対して、M2Mにおける情報伝達は、オフラインの限られた範囲内での接続方法が想定されていることだと言われます。
広範なIoTネットワークを構築する上で重要となるのが、場所を問わずにモノをオンラインに繋げるツール「SIM」(Subscriber Identity Module)です。スマホなどにも搭載されていることで馴染み深いSIMは、ユーザーがインターネットに接続するにあたって、そのネット回線の使用を許可された契約者であることを証明する通行手形のような機能を持ちます。
SIMの中には、スマホなどの一般向けに利用されているものとは別に、IoT専用のSIMが存在し、そうしたSIMは、通信料などにかかるコストが一般のSIMより低く抑えられます。多様な環境化で長期的にIoTネットワークを管理運用するなら、IoT専用SIMの導入は不可欠です。
IoT機器をインターネット接続するには、大きく、「直接通信方式」と「デバイスゲートウェイ方式」の2つに分けられます。
まず、直接通信方式は、IoT搭載の機器が直接インターネットに接続する方式です。直接通信方式においては、M1TCPやUDPなどの標準的なプロトコルが利用可能なため、固定回線や3G・4Gの回線を利用したIoT開発が可能です。通信範囲が広いことが直接通信方式の強みですが、同時に、通信費と消費電力が高いというコスト面での弱点も抱えています。
他方、デバイスゲートウェイ方式は、IoTセンサーやデバイスに搭載する機能を必要最低限に絞り込み、通信消費電力を抑えることに特徴があります。具体的には、Wi-Fiやセルラー通信、BluetoothやZigBeeを利用した通信方式がこれにあたります。
それぞれの特徴を簡単に説明すると、Wi-Fiやセルラー方式の通信は消費電力が高い一方、データの送信距離が長く、大容量のデータのやり取りが可能です。その一方、BluetoothやZigBeeは、消費電力こそ低いものの、データの送信距離が短いという難点を抱えており、互いに一長一短です。そんな両者のデメリットを解消できる通信方式がLPWAです。
LPWAは、”Low Power Wide Area”の略で、その名の通り、低電力でありながら広範囲のデータ送信能力を有しています。とはいえ、LPWAも完全な通信方式とはいえず、大容量のデータの送受信には向いていません。
なお、先に紹介したSIMは、セルラー回線を使う上で必須になるものです。「SIMはネット回線を使うための通行手形のようなものだ」とすでにご説明しましたが、これは逆に言えば、セルラー回線において、不正アクセスはSIMの認証システムによって弾かれることを意味しています。しかし、SIMのセキュリティレベルの高さは提供する通信会社ごとに違いがありますので、技術力が高く、信頼性の高い企業のSIMを採用することがおすすめです。
IoTの機能を大別すると、4つの構成要素に分けられます。すなわち、(1)デバイス機器などを操作する、(2)モノ同士で通信する、(3)センサー(モノ)の状態を感知する、(4)データの処理をするという、4つの機能です。
これについて分かりやすく説明するために、身近なところで、「ネットワークカメラ」の例を挙げてみましょう。
まず、ネットワークカメラとは、外出先からでも自宅や自宅に残したペットなどの様子を確認できることで最近需要を増しているIoT機器です。高機能なものになると、動感・気温・湿度・音など、多様なセンサーを搭載しており、こちらの音声や映像を通信先に届けることも可能です。
このネットワークカメラを先のIoTの各構成要素と照合すると、(1)このカメラは、スマホなどのデバイスを使って、遠隔から操作・確認できることに特徴があります。
とはいえ、そもそも遠隔から操作するには、(2)スマホとカメラ間がオンラインで繋がっていることが必要で、この通信回線を介して情報の送受信が可能になります。
そして、(3)カメラは家の状況をセンサーで感知し、その情報をスマホに送ります。
(4)カメラ(センサー)のデータは、ユーザーが有効に利用できるようにアプリ上で処理されて、遠隔地にいてもスマホで把握できます。
なお、(4)のアプリはカメラからの情報を受けて処理するだけのパッシブな機能のみならず、ユーザーがスマホを使ってカメラに働きかけるアクティブな場面においても使われます。すなわち、(1)と(4)、あるいは(1)から(4)の関係は、それぞれに相互作用しているのです。
このネットワークカメラの例は、IoTが活用されているほんの一部に過ぎません。たとえば、スピーカーに話しかけることで、さまざまな家電を操作できるスマートホームは、IoTがその技術の根幹をなしています。IoTは、私達にとってごく身近なところでもすでに活用されており、その生活を支えているのです。
IoTの導入は、企業活動においても多くの利益をもたらすものです。IoTの導入によって、まず期待されるのが、コスト削減などを含む「企業の業務効率化」です。
たとえば、M2Mについて説明した際、「センサーと連動した防犯ベル」の例を出しました。オンプレミスなM2Mの場合、防犯ベルが鳴り響くのは敷地内に限定されるので、警備員はその範囲内に常駐していなければなりません。しかしこのM2Mに、「外部の警備会社に通報する」というIoTを組み込んだらどうでしょうか。
警備会社は、各所の警備システムが集めた情報を、主な拠点で一元管理し、異常が感知されたときだけ、その場所に警備員を送り込めばいいことになります。こうした警備システムは今や珍しいものではありませんが、それを可能にしているのは、IoTの「遠隔地からデバイスを操作できる・データを取得できる」という特性があってこそなのです。
また、「複数の遠隔地からのデータを一元管理できる」という特性は、局所的なM2Mでは困難なビッグデータの取得を容易にします。この膨大なデータの取得は、それまでは気づかれなかったさまざまな情報の「可視化」にもつながり、それはマクロな視点からの「予測」や「効率化」、さらには「新たなビジネスモデルの転換」にまで至る可能性を秘めています。
さらに、IoTの活用によってシステムの自動化を進めることは、「ヒューマンエラー対策」にもなります。たとえば、製造業において高精度なセンサーを活用すれば、目視では見逃してしまいそうな不良品の発見や重大な事故の可能性を抑止することが期待できます。
先の事例からも分かる通り、IoTはオンプレミスなM2Mとは異なり、オープンなネットワークによる運用が想定されています。しかし、IoTのこの特性は、外部からの不正アクセスやマルウェアの感染といった危険をも内包していることに注意が必要です。
たとえば、マルウェアの感染経路には、社員が毎日の仕事で使用する電子メールも含まれます。最近では、特定の組織やユーザー層を狙う「標的型メール」も増えており、表面上は顧客を装ってメールを送り、マルウェアの仕込まれたファイルやURLを開かせようとするなど、手口が巧妙化してきています。
不正アクセスやマルウェアの感染は、社内情報の漏洩や、ネットワークで結びついた機器やシステム全体のダウンにもつながる可能性があります。
こうしたリスクを軽減するには、システムのセキュリティを技術的に高めることが非常に重要です。とりわけIotの場合、セキュリティソフトなどの更新だけではなく、外部からの解析や読み取り、改変がされにくいようになっている、耐タンパー性の高いセキュアなSIMカードを導入するといった対策も効果的です。
IoTは、すでに多岐に渡る企業において活用されています。以下では、NTTコミュニケーションズのサイトを参考に、業種別に、それぞれどのようにIoTを活用しているか事例を見ていきます。
交通網の発達やネットショッピングの一般化に伴い、物流業界はかつてないほどの供給量の増加と複雑化に見舞われています。ユーピーアール株式会社はこうした状況に早くから対応し、荷物の運搬用のパレットにIoTを導入しました。半径最大300mの読取範囲で、同時に最大5万個のパレット管理を可能にする画期的なシステム「スマートパレット」の開発です。
スマートパレットは急速な利用拡大に伴って、システムの拡張を迫られましたが、NTTコミュニケーションズが提供する汎用性の高いIoT Platformサービス「Things Cloud®」に基盤を移すことで、サービスの利用拡大にも対応できる、より柔軟なシステムを新たに構築して活躍を続けています。
IoTは交通業・自動車業においても、その発展に大きく寄与します。たとえば、株式会社スマートバリューは、自動車のクルマの情報化「テレマティクス」を実現するIoTサービスの開発を行いました。このシステムは通信モジュールやGPSを内蔵した専用車載機を車両に搭載することで、位置情報や走行情報などを収集し、データセンターに集約するというものです。このサービスの実現には低コストかつ安定性の高いモバイル回線が不可欠でしたが、信頼性の高いNTTコミュニケーションズの3Gモバイル回線を選択することで、顧客を待たせない迅速なサービス展開を可能にしました。
後継者不足が長年の課題となっている農業や酪農・畜産業は、IoTによる自動化の恩恵を大きく受ける業種です。光和ネットサービス株式会社は、牛の傷病を検知するIoTソリューションを開発しました。これは牛の行動記録を収集して疫病検知に役立つ新たなIoTサービスです。牧場などの郊外で安定したネットワークを構築できるかがネックでしたが、その課題もNTTコミュニケーションズのOCNモバイル ONE for Businessによる高品質な通信基盤を獲得することで乗り越えました。
医療に特化したIoTは、とりわけ「IoMT」(Internet of Medical Things)と称され、より充実した医療サービスの提供に向けて研究が進んでいます。丸紅情報システムズ株式会社も、そうしたIoMTを開発した企業の1つです。丸紅情報システムズ株式会社が開発した「MBT LINK」は、自宅では体重計、体温計、血圧計などの計測データ、屋外では温度や湿度といった環境データも収集できるIoTで、利用者の健康管理や医師の診療に役立つことが期待される新たな医療健康サービスです。このIoMTを可能にするには、多様なデータを確実に送信できるモバイル通信が不可欠でしたが、それもNTTコミュニケーションズの協力により解決し、新たな医療サービスの実現に向けて大きな一歩を踏み出しました。
製造業も、IoTの導入によって生産性や品質の向上が見込まれる業界です。IoTやAIなどの最新のICT技術を積極的に取り入れる三井化学株式会社は、NTTコミュニケーションズが開発した時系列ディープラーニングという新たなAI技術による解析をガス製品の品質予測において利用し、事前処理を施さないデータからも平均誤差3%の高精度予測を実現しました。今後、熟練人材の高齢化が続く中、AIの活用は製造業において課題解決の方法の1つとみなされています。
自社のシステムをIoT化するにあたっては、上記で述べてきたようなIoTの基本的な意味と仕組みの理解や、自社のセキュリティやコストなどの課題を把握することが大切です。そして、そのためには、IoTについて高度なノウハウを備え、安定したネットワークとシステム基盤の提供が可能な信頼できるパートナーが不可欠です。
NTTコミュニケーションズの法人向けOCNサービスは、国内最大級のIPバックボーンに支えられた高速・高品質のネットワーク環境を提供しています。OCNサービスにおいては、固定IPアドレス(IPv4/IPv6)を利用したインターネット接続、VPN、ウイルス・迷惑メール対策などのセキュリティ対策をはじめ、幅広いソリューションが可能です。
さらにNTTコミュニケーションズの提供するIoT用SIMは、国内外を問わずに一元管理が可能で、自社システムとの連携も可能など、IoTに適した性能を持っています。さらに、限られた端末からのみ操作可能にできるなどセキュリティ性も高く、過酷な環境でも動作可能な安定性は、NTTコミュニケーションズならではの強みです。
IoTシステムの運用に最適なプラットフォーム「Things Cloud®」と合わせ、NTTコミュニケーションズのSIMカードはIoTの導入を進める企業を強力にサポートします。
本記事では、IoTの基本知識から始め、各業種におけるIoTの具体的な活用事例に至るまで、幅広く解説してきました。安全で高品質なIoT環境の構築を求めている事業者の方は、ぜひNTTコミュニケーションズの法人向けOCNサービスをご利用ください。
(https://www.ntt.com/business/services/network/internet-connect/ocn-business.html)
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