2020年08月17日

防犯だけでない! コロナ対策やおもてなしにも。
カメラに映ったものから価値を生み出す、AI映像解析ソリューション「COTOHA Takumi Eyes®

今回は、Communication Engine “COTOHA®”の「目」として新たにラインアップに加わった、AI映像解析ソリューション「COTOHA Takumi Eyes®」をご紹介します。サービス開始時は「防犯」に対する課題解決をメインとしていましたが、AI映像解析で検知できるものは不審者だけではありません。公共空間、学校、オフィスビル、商業施設など多岐にわたる空間で、おもてなし、マーケティング、さらには新型コロナウイルス対策まで、幅広い価値提供ができるソリューションに進化しています。

COTOHA Takumi Eyes®の現在拡大中の提供価値と、今後のさらなる発展についてご紹介します!

左から、根本 真一さん、古思 望さん、熊下 正照さん、岡本 昌也さん、宮原 拓磨さん

他社の追随を許さない! 顔照合と全身照合による「リアルタイム」解析

――どのようなソリューションか教えてください。

宮原さん

宮原さん:一言で言うと、防犯カメラ映像の確認作業を、高度なAIがサポートするソリューションです。現在、防犯カメラの普及率は増えているものの、有効活用できていない実態があります。せっかく設置しても、トラブルなど有事の際に確認するだけであったり、犯罪を抑止するだけの役割となっています。ただ、防犯カメラの運用には一定の維持費がかかるため、それらの役割だけでは宝の持ち腐れです。防犯カメラをAIによりもっと有効活用しようというのが、COTOHA Takumi Eyes®の出発点です。また、怪しい人の検出や追跡だけでなく、迷子や介助が必要な方の検知もできるので、防犯にとどまらないカメラの有効活用が可能です。

――どのような特長がありますか?

宮原さん:COTOHA Takumi Eyes®は顔照合だけでなく、全身照合という技術を合わせて採用しており、精度の高い解析ができます。顔照合だけのシステムだと後ろ姿や不鮮明な映像に対応できませんが、全身照合を組み合わせたCOTOHA Takumi Eyes®であれば、そのような対象映像でも検出や追跡ができます。例えば、要注意のお客さまがいらっしゃった場合、顔を登録しておくと来訪を瞬時に検知し、その後もそのお客さまが施設内のどこにいるのか、常に追跡することができます。

――全身照合は、服装から判断しているのですか?

宮原さん:解析結果を見ると、服装や体形が一つの特徴量として捉えられているようです。ただし、ディープラーニングの技術を活用しているため、何を特徴としているかはブラックボックスとなっています。

――他社の映像解析サービスと比べて、どのような強みがCOTOHA Takumi Eyes®にはあるのでしょうか?

宮原さん:顔照合と全身照合を使い、リアルタイムに検知できる点が、他社サービスとの違いです。2つの解析を組み合わせたサービスはありますが、過去検索しかできないと聞いています。また、NTT Comはカメラベンダーに縛られず提供ができるマルチベンダー性であるのも強みです。

白杖、車いす、転倒、置き去りなど、各社のサービスで検知できる内容は異なりますが、COTOHA Takumi Eyes®では常に他社の検知内容を追従する形で機能拡充を行っており、人物以外の検知内容においても他社と遜色ない能力となっています。

根本さん

根本さん:リアルタイムの映像解析処理は、NTT研究所の高速推論処理基盤を活用しています。研究所の技術に、NTT Comの独自技術とパートナーの技術を組み合わせて実現したのが、COTOHA Takumi Eyes®です。高速推論処理基盤により、他社に先駆けて、カメラ映像をリアルタイムで高速処理できるようになりました。また、全身照合においてはNTT Comの開発メンバーが最新の技術を組み込み始めており、今後さらに精度が向上します。

不審者検知率が約5倍に向上! さまざまな空間で活用・効果検証が進むCOTOHA Takumi Eyes®

――商用での導入事例を教えてください。

宮原さん:都内の某大型商業施設で商用導入された実績があります。お客さまの課題として、広大な敷地において監視が行き届かず、事件や事故を未然に防げないのではないかという危機感がありました。敷地内には約300台の防犯カメラがあり、これらを活用することで解決できないかと検討されたのがきっかけです。

現在、主要な出入り口や通路の防犯カメラ約40台にCOTOHA Takumi Eyes®を導入しています。不審者や過去に窃盗やストーカー等の迷惑行為を行ったため入館をお断りしている人物をいち早く発見して必要に応じて警備員による声掛けを実施することにより事件・事故を未然に防いだり、迷子が発生した際にはシステムで現在の居場所を検索して迅速な保護を可能にしたりなど、施設の安心安全の向上に貢献しています。

商用導入の前にエキストラによる実証実験(以下、PoC)を行ったところ、検知率が17%から82%に上がったという結果が出ています。

――COTOHA Takumi Eyes®のPoCではどのようなプロジェクトが行われているのでしょうか。

岡本さん

岡本さん:学校、公園、オフィスビルなどでそれぞれプロジェクトが進行中です。

学校におけるPoCでは、不審者検知を目的としています。昨今、不審者が学校内に侵入するトラブルが多発する中、学生の安全を守るためにCOTOHA Takumi Eyes®の実験運用をしていただいています。先にお話しした検知機能の他、今後の展開として、教員や学生であるかどうかを見分ける機能の開発を行っています。このホワイトリストの機能ができれば、学校の関係者以外が侵入した際にすぐにアラートを上げることができます。

古思さん

古思さん:公園の安心安全を向上させるため、COTOHA Takumi Eyes®のPoCを9月から予定しております。本プロジェクトは、屋外での初めての案件であり、不審者だけでなく車いすの方や急病人の検知も期待されています。また、パートナー企業と連携し、GPS情報からどういう属性の人がどこから来たかなども分析する予定で、将来的なデータ流通・活用につながる新しい取り組みになると考えています。


熊下さん

熊下さん:オフィスビルの取り組みは、都内のオフィスと商業施設の複合ビルで行っています。防犯カメラ10台をCOTOHA Takumi Eyes®に連携し、AIによる自動検知を行っています。PoCでは、カメラのスペックや設置場所により映像条件が悪く、検知や追跡精度が期待に届きませんでした。そのため、独自開発している全身照合の精度を改善し、再度、追跡精度向上の検証に取り組んでいるところです。オフィスビルでは公園同様に、不審者以外の車いすや急病人の検知も期待されています。防犯だけでなく、ビルや商業施設の「おもてなし」につながる機能提供を目指しています。


スターターキットでPoCもスムーズに。本格導入まで迅速対応

――導入ステップやソリューション提供時の体制を教えてください。

宮原さん:お客さまへ提案ヒアリングした後、お見積りのために現地調査を行います。どこのカメラを何台利用できるかなど、お客さまの状況に応じて構成を検討し、要件定義を実施。その後、お見積りを提示します。提案ヒアリングと現地調査、要件定義に約1カ月、お見積りご提示からご契約までに約1カ月かかります。

なお、いきなり本格導入ではなく、まずはPoCを実施することが多いです。PoCでは、精度と費用対効果を検証し、効果を踏まえて本格導入に進みます。PoCの実施期間は構築から検証、検証結果の報告までトータルで3カ月程度です。

根本さん:PoCの3カ月はあくまで目安で、1カ月で効果が出れば、それで本格導入に移行します。PoCをスムーズに実施するためのスターターキットもあるので、ぜひお気軽にPoCをお申込みいただきたいと思います。


三密・マスク・発熱検知。After/withコロナ対策への活用も!

――今後の展望を教えてください。

宮原さん:顔照合と全身照合をコア技術としつつも、画像認識や骨格推定、他社のAI技術を連携させることで、防犯だけでなく、ハートフルなおもてなしの実現や感染症対策、または売上向上への貢献など、提供価値の拡大を図っていきます。

新しいAI技術の活用により、忘れ物や急病人、車いす、白杖検知などハートフルな価値の提供が可能となります。また、他社のAIシステムとの連携では、ELSYS JAPAN社の不審者検知エンジンDefender-Xとの連携を進めています。このエンジンでは映像から人物の微細な振動を解析し、人の緊張状態や攻撃性などを把握することが可能です。これにより怪しい人を事前に検知し、その顔画像をCOTOHA Takumi Eyes®に登録することで、リアルタイムな追跡(監視)ができます。すでにPoCでの検証を完了し、商用提供の準備を進めています。

After/withコロナ対策としてもCOTOHA Takumi Eyes®を活用いただけるよう、機能追加も検討しています。COTOHA Takumi Eyes®のコア技術で人数をカウントできるため、施設の密集度を即座に把握することができます。またサーマルカメラとの連携により、発熱者やマスク未装着者の自動追跡が実現可能です。新型コロナウイルス対策でこれらをチェックする人員が必要となっていますが、COTOHA Takumi Eyes®を活用すれば対象者が自動検知・追跡されるので、必要なときだけ人が対応すればよく、人員削減につながります。サーマルカメラや密集度検知については9月中にPoCで提供開始を予定しております。

根本さん:COTOHA®の「目」として、他のCOTOHA®サービスとの連携も模索しています。言語解析と行動解析を組み合わせることでまた新たな価値の提供ができるのではないかと考えています。

最後に

本記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございました! COTOHA Takumi Eyes®は記事で紹介させていただいた通り、防犯だけでなく、おもてなし、マーケティング、新型コロナウイルス対策などさまざまに活用いただけます。

お客さまにご紹介したいときやご不明点がありましたら、お気軽に「COTOHA Takumi Eyes®のお問い合わせフォーム」からお問い合わせください。

◆COTOHAシリーズ

※順次、掲載予定です。

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社員メッセンジャー

NTTコミュニケーションズアプリケーションサービス部

宮原 拓磨

映像からAIが新たな価値を生み出す映像解析ソリューション「COTOHA Takumi Eyes®」の企画を担当しています。NTT Comの最新の取り組みやソリューションの魅力をお届けします!

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