CASE of Re-connect X 05
世界と未来をつなぐ
海底ケーブル
通信インフラとして高まる重要性
インターネットや国際電話など、国際データ通信の99%を担うのが光ファイバーを束ねた海底ケーブルです。衛星通信をはるかにしのぐ大容量の高速通信が可能な海底ケーブルは、今や世界中の海に張り巡らされ、総延長は約140万kmに及びます。今後も世界的にデータ通信需要が増加することは確実であり、その対応に向けて海底ケーブルの増強や新規敷設の計画が進んでいます。一方、海底ケーブルはひとたび断線するとデータ通信に支障をきたすことから、有事の際の通信確保など経済安全保障の観点からも、既存ケーブルの保守管理の重要性が一層高まっています。
世界をつなぎ続ける海底ケーブル事業を推進
NTTワールドエンジニアリングマリンは、海底ケーブルの敷設・保守を担う海洋エンジニアリング会社として、1998年の設立以来、国内海底ケーブルは9,000km、国際海底ケーブルは30,000kmに迫る距離を敷設し、NTTグループが有するすべての海底ケーブルの保守、メンテナンスを担っています。
近年、世界的にデータ通信が急増する中で、海底ケーブルの新規敷設や修理を含めた保守管理の需要が高まっています。NTTワールドエンジニアリングマリンはケーブル敷設船など計4隻の専用船を運用し、設計、海洋調査からケーブル敷設・埋設工事、修理工事、災害対策など多岐にわたる事業を展開しています。現在、国内では主に本土と離島を結ぶケーブルの敷設工事を行うほか、海外ではフィリピンの離島地域での工事も手掛けています。ケーブルが行き渡っていない地域への新規敷設は情報格差の是正はもちろん、大規模災害への備えという意味でも重要な社会課題です。
海底ケーブルの保守管理は、社会に欠かせないインフラを支える大切な仕事です。ケーブルの耐用年数は約25年ですが、経年劣化による入れ替え作業のほか、漁船の網や船舶の錨などで損傷することがあり、台風などの影響で傷つくリスクもあることから、影響を受けやすい箇所では定期的な点検が欠かせません。
Wi-Fiや5G、いずれ次世代の無線通信が飛び交うようになっても、海底を走るケーブルが世界のデータ通信の縁の下を担う役回りは変わりません。NTTワールドエンジニアリングマリンは、海底ケーブルを通じて世界をつなぎ続け、持続可能な社会の構築に貢献します。
データ通信を支える技術を次世代に継承
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NTTワールド エンジニアリングマリン 企画総務部長
丸島 能史海底ケーブルを扱う私たちの事業は、NTTグループにおいても特異な立ち位置にあり、極めて専門性の高い事業内容と言えます。主な活動の舞台は海洋にあり、事業推進にあたっては海底ケーブルの陸揚げ地の設定や、海底地形を把握した上での敷設ルート設計、敷設や保守に関しての漁業組合との折衝など、独自の知識やノウハウが必要となります。近年、海底ケーブル事業の社会的、経済的な重要性はさらに増す一方で、人材の確保・育成、技術の継承が課題として浮き彫りになっています。私たちは、世界中をつなぎ、産業の発展を下支えする海底ケーブル事業が持つ社会的な意義と価値、仕事のやりがいを広く訴求するとともに、使命感と誇りを胸に未来を見据えて安心・安全な通信インフラを支えていきます。
※本記事の内容は2023年12月現在の事実にもとづくものです。