情報セキュリティ対策の重要性と
できていない場合のリスクとは?
対策の具体例について解説


情報セキュリティ対策の具体例には、次のようなものがあります。
- 適切なパスワード設定と管理
- ソフトウェアのアップデート
- 詐欺に注意する
- 個人情報の取り扱いに注意する
- アカウント管理の徹底
- アクセス制限の設定
- 情報セキュリティに関するルールの策定
- ウイルス対策
情報セキュリティ対策は、現代の企業にとって欠かせません。サイバー攻撃や情報漏えいのリスクが増加しており、適切な対策を講じなければ重大な経済的損失や信用失墜につながる恐れがあります。
近年、日本国内でもランサムウェアや標的型攻撃の被害が拡大しており、情報セキュリティへの関心が一層高まっています。
そこで本記事では、情報セキュリティ対策の重要性と、対策を怠った場合のリスクについて解説するとともに、具体的な対策例を紹介します。
情報セキュリティ対策とは
情報セキュリティ対策とは、企業が保有する機密情報や個人情報を不正アクセス、漏えい、マルウェア感染などの脅威から保護するための施策を指します。
企業における情報セキュリティ対策は、大きく以下の3つの観点から考えることが重要です。
技術的対策
企業の情報資産を守るためには、最新の技術を活用した対策が不可欠です。
技術的対策の例としては、ファイアウォールやウイルス対策ソフトの導入、ネットワーク監視の強化などが挙げられます。
また、ゼロトラストセキュリティの考え方に基づき、すべてのアクセスを厳格に管理する仕組みを取り入れるのも有効です。
人的対策
技術的なセキュリティ対策を実施しても、従業員のセキュリティ意識が低ければ、内部不正やヒューマンエラーのリスクが高まります。
定期的なセキュリティ研修や、セキュリティポリシーの周知徹底が求められます。
物理的対策
物理的対策とは、不法侵入や破壊、紛失、災害といった物理的なリスクへの対策です。
たとえば、オフィスの入口に入退室管理システムや生体認証などを導入する、デバイスの管理を鍵付きのキャビネットで行うなどの方法があります。
情報セキュリティ対策の重要性とできていない場合のリスク
情報セキュリティ対策を怠ると、企業は深刻な被害を受ける可能性があります。
ここでは、対策が不十分な場合に起こり得る主なリスクについて解説します。
情報漏えいによる信用失墜
企業の顧客情報や機密データが流出すると、取引先や顧客からの信頼が一気に失われます。
情報漏えい事件が報道されることで、企業のブランドイメージに大きなダメージを与え、株価の下落や契約解除のリスクも高まります。
サイバー攻撃による業務停止
ランサムウェアやDDoS攻撃などのサイバー攻撃を受けると、企業のITシステムが機能不全に陥り、業務が完全に停止する可能性があります。
特に、大規模なシステム障害が発生すると、復旧にかかるコストは莫大なものとなり、長期間にわたる影響が懸念されます。
法的制裁や罰金の発生
個人情報保護法やGDPRに違反すると、企業には高額な罰金が科される可能性があります。
たとえば、GDPRでは違反企業に対して年間売上高の4%または2000万ユーロ(約30億円)以下の高い方が課されることがあります。
国内でも、情報漏えいが発生した場合、企業は被害者への賠償責任を負うことになります。
内部不正による機密情報の流出
従業員による内部不正が発生するリスクもあります。
たとえば、退職する従業員が機密情報を持ち出したり、不正アクセスを行ったりするケースも少なくありません。
適切なアクセス管理や監視体制がなければ、内部からの情報流出を防ぐことは困難です。
金銭的損害の発生
情報漏えいやサイバー攻撃の被害を受けると、復旧費用や罰金、顧客への補償費用など、莫大なコストが発生します。
また、業務停止による売上損失も無視できません。
訴えられた場合は、裁判費用や損害賠償金も発生します。
適切なセキュリティ対策を講じていない企業は、こうした金銭的リスクを回避することができません。
個人が取り組むべき情報セキュリティ対策の具体例
企業が情報セキュリティ対策を強化する一方で、従業員個人レベルでも適切な対策を講じることが重要です。特にリモートワークの普及により、従業員が自宅や外部のネットワーク環境で業務を行う機会が増えたため、個人のセキュリティ対策が企業全体のセキュリティにも大きな影響を与えます。
ここでは、個人が取り組むべき具体的な情報セキュリティ対策について解説します。
適切なパスワード設定と管理
パスワードの管理は、個人情報や企業のデータを守る基本中の基本です。しかし、多くの人が「123456」「password」といった簡単なパスワードを使用し、セキュリティリスクを高めてしまっています。
次のような条件を守ってパスワードを使用しましょう。
- 適切なパスワードの条件
- 最低12文字以上にする
- 英数字・記号を組み合わせる
- 辞書に載っている単語は避ける
- 同じパスワードを複数のサービスで使い回さない
- 定期的に変更する(3から6ヵ月程度に一度)
ソフトウェアのアップデート
サイバー攻撃の多くは、古いソフトウェアの脆弱性を狙って行われます。そのため、使用しているOSやアプリケーション、ウイルス対策ソフトを常に最新の状態に保つことが重要です。
以下を徹底しましょう。
- OSは最新バージョンを適用する
- セキュリティパッチやアップデートを自動適用する設定にする
- 業務で使用するアプリケーション(ブラウザ、Office製品など)も定期的に更新する
- 不要なアプリケーションはアンインストールして、攻撃対象を減らす
詐欺に注意する
企業や個人を狙った一般的な攻撃手法に、フィッシング詐欺やワンクリック詐欺があります。
攻撃者はメールやSMS、電話を使ってユーザーの情報を盗み取ろうとしています。
次のような対策を行いましょう。
- 差出人のメールアドレスを確認する(企業ドメインを装っているが、微妙に異なる場合がある)
- 怪しいリンクをクリックしない(URLをよく確認し、公式サイトかどうかを確かめる)
- 添付ファイルを開く前に、送信者が本物か確認する
- パスワードや個人情報を求めるメールには応じない
個人情報の取り扱い
企業の情報を扱う従業員は、個人情報の取り扱いにも十分注意する必要があります。誤送信や紛失といったヒューマンエラーによる情報漏えいも少なくありません。適切なデータ管理が求められます。
個人情報を適切に管理するポイント
- 業務用PCやスマートフォンと私用デバイスを分ける
- USBメモリや外付けHDDは指定のもののみ使用する
- 機密情報をメールやチャットで送信しない
- 紙の書類はシュレッダーで廃棄する
- リモートワーク中はVPNを使用する
企業が取り組むべき情報セキュリティ対策の具体例
最後に、企業として取り組むべき情報セキュリティ対策について、具体的なに解説します。
アカウント管理の徹底
アカウントの適切な管理は、企業の情報セキュリティ対策の基本です。
英数字・記号を組み合わせた12文字以上の強力なパスワードの使用を、従業員に徹底させましょう。その上で、最低でも3から6ヵ月に1回のパスワード変更を義務付けるなど、定期的なパスワード変更を実施します。
さらに、パスワード管理ツールを活用することで、複雑なパスワードを安全に保存・管理することが可能です。
また、退職者や異動者のアカウントを放置せず、速やかに無効化しましょう。
パスワードだけでなく、ワンタイムパスワードや指紋認証などを併用した多要素認証(MFA)の導入もおすすめです。
アクセス制限の設定
全ての従業員があらゆるデータにアクセスできる環境では、情報漏えいや内部不正のリスクを高めてしまいます。適切なアクセス制限を設定し、必要最小限のアクセス権を付与することで、セキュリティリスクを軽減しましょう。
各従業員には業務に必要なデータやシステムへのアクセス権のみを付与し、管理職・一般社員・外部委託先など、役割ごとにアクセス制限を分けます。
また、社内の人事異動に応じて、不要なアクセス権を削除するなど、見直しを行うことが大切です。
ゼロトラストセキュリティの導入も有効です。
情報セキュリティに関するルールの策定
どれだけ優れたセキュリティシステムを導入しても、従業員の意識が低ければリスクは軽減できません。そこで、企業全体で統一された情報セキュリティポリシーを策定し、全従業員に周知・徹底することが重要です。
さらに、不審なメールやサイトを開かないなど、基本的なセキュリティ対策をマニュアル化して周知しましょう。従業員向けのセキュリティ研修を実施することも大切です。
ウイルス対策
サイバー攻撃の手口は年々、高度化・巧妙化しており、従来のウイルス対策ソフトだけでは防ぎ切れないケースも増えています。
そこで、最新のウイルス対策ソフトの導入に加え、AIを活用した次世代型エンドポイントセキュリティ(EDR:Endpoint Detection and Response)の導入をおすすめします。
また、メールの添付ファイルやリンクを開く前にウイルススキャンを実施しましょう。
さらに、ネットワークの監視を行うことが重要です。
OSや業務アプリケーションのセキュリティ更新を怠らないことも大切です。
また、ランサムウェア対策として、データの定期的なバックアップを行い、万が一の感染時にも迅速に復旧できる環境を整えておきましょう。
まとめ
情報セキュリティ対策は、企業が事業を継続し、信頼を維持するために不可欠な要素です。
特に、サイバー攻撃の高度化や情報漏えいリスクの増大が進む現代において、適切な対策を講じることが企業の存続に直結するといっても過言ではありません。
情報セキュリティは、一度対策を講じたら終わりではなく、継続的に強化・改善していく必要があります。企業の情報資産を守るために、今すぐ行動を開始しましょう。
情報セキュリティ対策にかける人手やノウハウが不足しているという場合は、X Managedのようなセキュリティ運用にも多くの実績があるマネージドサービスの利用もご検討ください。