セキュリティインシデントを防ぐ方法や
発生した際の対応のステップを解説

セキュリティインシデントを防ぐ方法や発生した際の対応のステップを解説
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セキュリティインシデントが発生した際の対応のステップは、次の通りです。

  1. 検知・報告
  2. 初動対応
  3. 調査
  4. 報告・公表
  5. 被害の抑制と復旧作業
  6. 再発防止策の実施
  7. 調査報告書の作成

セキュリティインシデントは、企業の機密情報漏えいやシステム故障、ランサムウェア攻撃などを引き起こし、事業運営に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
近年、日本国内でも大規模な情報漏えい事件が相次ぎ、情報システム部門における対応能力が求められています。特に、大手企業では、従業員のヒューマンエラーや外部からのサイバー攻撃を未然に防ぐ対策と、万が一、発生した場合の迅速な対応が重要です。

そこで本記事では、セキュリティインシデントの防止策と発生した際の具体的な対応ステップについて、詳しく解説します。

セキュリティインシデントとは

セキュリティインシデントとは、企業の情報セキュリティ、つまり、ITシステムやデータに対する事故(不正アクセス、情報漏えい、ランサムウェア攻撃、DDoS攻撃など)を指します。

セキュリティインシデントが起きると、業務の停止や企業ブランドの毀損、法的責任など、多大な損害をもたらす恐れがあります。

主なセキュリティインシデントの種類には、次のようなものがあります。

  • 不正アクセス…ハッキングによる機密データの窃取や、権限のない第三者によるシステム侵入など
  • マルウェア感染…ランサムウェアによるファイル暗号化・身代金要求や、ウイルス感染によるシステム故障など
  • DDoS攻撃…サーバーへ過剰な負荷をかけ、システム停止を起こす
  • 内部不正…従業員による意図的な情報漏えいや不正アクセスなど
  • ヒューマンエラー…メールの誤送信、誤操作によるデータ削除、USBメモリの紛失など

セキュリティインシデント対応の必要性

セキュリティインシデントに迅速かつ適切に対応しない場合、以下のような深刻な影響が生じる恐れがあります。

企業の信頼失墜

情報漏えいが発生すると、顧客や取引先からの信頼を大きく損なうことになります。メディア報道による風評被害や、SNSでの拡散による企業イメージの悪化も懸念されます。

さらには、企業のブランド価値が低下し、新規契約の減少や解約の増加につながる恐れもあります。

法的責任とコンプライアンス違反

個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)などの法規に違反した場合、数億円規模の罰則金や行政指導の対象となる恐れがあります。

また、適切なインシデント対応を怠ったとの理由で、顧客やパートナー企業から訴えられるリスクも高まります。

財務的損失

システムの復旧費用やデータ復旧費用、セキュリティ強化のための追加投資が発生します。
ランサムウェア攻撃では、身代金の支払いを余儀なくされるケースもあり、数千万円以上のコストがかかることがあります。
訴訟を起こされれば、その費用もかかります。
業務の一時停止による売上損失や、顧客離れによる中長期的な収益減少も懸念されます。

業務停止・事業継続計画(BCP)への影響

DDoS攻撃やシステム故障、ランサムウェア感染、クラウド環境の設定ミスなどにより、業務が停止してしまい、顧客対応などが困難になるケースがあります。直接的な売上機会の損失につながる恐れもあります。

セキュリティインシデントに迅速かつ適切な対応を行うことで、上記のような被害を最小限に抑えることができます。

セキュリティインシデントを防ぐ対策方法

セキュリティインシデントを未然に防ぐためには、総合的な情報セキュリティ対策を講じることが不可欠です。

本章では、企業が取り組むべき具体的なセキュリティ対策について解説します。

セキュリティポリシーの策定

セキュリティポリシーとは、企業が情報資産を保護するために定める基本方針やルール、手順のことです。

たとえば、以下のような項目を含めることが一般的です。

  • パスワード管理(強固なパスワードの使用、定期変更の義務化)
  • アクセス制御(業務に必要な範囲の権限付与)
  • データ保護方針(機密情報の暗号化、持ち出し制限)
  • インシデント発生時の対応フロー

企業全体で明確なセキュリティルールを策定し、従業員が遵守する仕組みを構築することが、セキュリティインシデント防止の第一歩となります。

企業のリスク環境を考慮し、適切な対策を盛り込んだ上で、全従業員が理解し実践できるシンプルなルールにしましょう。さらに、定期的に見直し、最新のセキュリティ脅威に対応することが大切です。

セキュリティ体制の構築

セキュリティ対策を実効性のあるものとするためには、専門の組織を設置し、監視や対応を行う体制を整えることが重要です。

セキュリティ体制として、以下を設置することが大切です。

CSIRT(Computer Security Incident Response Team)

CSIRT(Computer Security Incident Response Team)とは、企業内で発生するセキュリティインシデントに対応する専門チームのことです。インシデントの監視、対応、再発防止策の実施を担います。従業員教育やセキュリティポリシーの策定・更新を主導する組織です。

SOC(Security Operation Center)

SOC(Security Operation Center)とは、24時間365日体制でネットワークやシステムの異常を監視する専門チームです。

SIEM(Security Information and Event Management)ツールを活用し、不審なアクセスをリアルタイムで検知し、脅威が発生した場合は即座にCSIRTと連携し、対策を実施します。

自社でCSIRTやSOCを設置するリソースがない場合、X Managedのようなマネージドサービスを活用することで、セキュリティ対策を強化できます。

IT資産の適切な管理

企業が保有するIT資産を適切に管理し、セキュリティリスクを最小限に抑えることも重要です。

たとえば、不要なアカウントや古いシステムが放置されると、攻撃の対象になりやすいです。
そこで、従業員が使用するデバイスを一元管理し、紛失や不正アクセスを防ぎます。
また、クラウド環境の設定ミスによる情報漏えいを防ぐことも、IT資産の適切な管理の一つです。

OS・ソフトウェアのアップデート

OSやソフトウェアの脆弱性を悪用した攻撃が多発しているため、アップデートによって最新のパッチを適用し、脆弱性を解消することが不可欠です。

自動アップデートを有効化し、更新の抜けもれを防ぐと良いでしょう。
情報システム部門はアップデートスケジュールを管理し、重大なセキュリティパッチが公開された場合は速やかに適用してください。

セキュリティ研修・従業員教育

重大なセキュリティインシデントは、従業員の内部不正やヒューマンエラーによって発生することも少なくありません。

そのため、全従業員の意識を高め、セキュリティリスクを理解した上で適切な行動を取れるよう、教育を行うことが重要です。

研修内容の例としては、セキュリティポリシーの解説、フィッシングメールの見分け方、安全なパスワード管理、USBメモリや外部ストレージの取り扱い、クラウドサービスの適切な利用方法、内部犯行者への法的措置の周知などが挙げられます。
不審なメールのテスト送信を行い、従業員の対応力をチェックする防災訓練などもおすすめです。

セキュリティインシデントが発生した際の対応のステップ

セキュリティインシデントが発生した際には、迅速かつ的確な対応を行うことで、被害の拡大を防ぎ、企業の信用を維持することが可能です。特に、企業の情報システム部門は、明確な対応フローを確立し、速やかに実行できる体制を整備することが不可欠です。

ここでは、セキュリティインシデントが発生した際の対応のステップを、「検知・報告」から「再発防止策・調査報告書の作成」までの流れに沿って解説します。

検知・報告

セキュリティインシデントの早期発見と迅速な報告が、被害の最小化につながるため、企業は常に監視体制を整えておく必要があります。

インシデントの検知

SIEMやEDR(Endpoint Detection and Response)などのツールを活用し、異常なアクセスや挙動をリアルタイムで検知できるようにしておきます。

インシデントの報告

インシデントが確認されたら、速やかに責任者へ報告します。

また、従業員からの報告フローを整備しておく必要があります。
たとえば、フィッシングメールや怪しいシステムの挙動をSOCや情報システム部門以外の従業員が発見した場合、迅速に情報システム部門へ報告できる仕組みを作っておきましょう。

初動対応

セキュリティインシデントが発生した際の初動対応が、被害拡大を防ぐための最も重要なステップとなります。

1.影響範囲の特定

影響を受けたサーバーやネットワーク、デバイスを特定したり、不審なIPアドレスやログの解析を行ったりし、社内外への影響を調査します。

2.被害の拡大防止

つづいて、感染したデバイスをネットワークから隔離したり、影響を受けたアカウントをロックしたりすることで、被害の拡大を防止します。

調査

初動対応が完了した後は、再発防止策を検討するためにインシデントの原因を徹底的に調査します。

具体的には、

  • ログデータの分析(SIEMツールやファイアウォールログの確認)
  • デバイスやサーバーのフォレンジック調査
  • 関係者へのヒアリング(不審なメールの受信、怪しい挙動の報告など)

などを実施します。

これにより、攻撃の手口や、侵入経路の特定、影響範囲の詳細な確認(どのデータが流出したか、どのシステムが侵害されたかなど)を行います。

報告・公表

インシデントが発生した場合、適切な報告と公表が企業の信頼維持に直結します。
報告・公表は、社内報告と社外報告に分けて行います。

社内報告

社内報告では、経営層、関係部署、法務部門と連携し、社内での情報共有を行います。

社外報告

社外報告では、法的報告義務の対応が必要です。たとえば、個人情報漏えいの場合、個人情報保護委員会への報告が必要です。

また、顧客や取引先への適切な通知も重要です。
さらに必要に応じて、プレスリリースを発表します。

被害の抑制と復旧作業

次に、影響を受けたシステムの復旧を進め、業務を通常通り運用できる状態に戻す必要があります。
影響範囲を詳細に把握し、必要な対策があれば実施します。

再発防止策の実施

インシデントが発生してしまった場合は、原因を特定し、同じ問題が再発しないよう、具体的な対策を講じることが不可欠です。

たとえば、セキュリティポリシーの見直しやアクセス権限の適正化、従業員向けセキュリティ教育の再実施などが考えられます。

調査報告書の作成

最後に、インシデントの詳細を記録し、今後の対応策に活かすための調査報告書を作成します。

調査報告書に含めるべき内容としては、次のような項目が挙げられます。

  • インシデントの概要(発生日時、影響範囲、原因)
  • 初動対応とその結果
  • 被害の詳細
  • 復旧作業の内容
  • 再発防止策
  • 今後の改善提案

まとめ

セキュリティインシデントが起きれば、企業の事業継続や信用にも大きな影響を与えます。情報漏えいやシステム故障は、顧客や取引先からの信頼を損なうだけでなく、法的責任や財務的損失を引き起こす可能性があります。
そのため、インシデントを未然に防ぐための対策と、発生時に迅速に対応できる体制の構築が不可欠です。

本記事を参考に、セキュリティ対策を見直し、より強固なインシデント対応体制を構築してください。

もし、セキュリティ体制の構築や、IT資産の適切な管理などを自社のみのリソースで行うことが難しい場合は、X Managedのようなセキュリティ運用にも多くの実績があるマネージドサービスの導入も検討してみてください。

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