マネージドサービスのよくある失敗パターン10選
マネージドサービス導入における主な失敗パターンは、次の10点です。
- 目標設定があいまいだった
- 現状分析が不十分だった
- ベンダー選定が不適切だった
- 柔軟性の低いサービスを選んでしまった
- 提供事業者とのコミュニケーションが不足してしまった
- 社内体制に不備があった
- 契約内容への理解が不足していた
- セキュリティ対策を軽視していた
- 変化に対する社内の抵抗感が強かった
- マネージドサービスへ過度に依存してしまった
マネージドサービスは、企業 の情報システム部門にとって、ITインフラの運用負担を軽減し、コア業務に集中するための効果的なソリューションです。
ただし、マネージドサービスについてよく理解していないと、導入に失敗する可能性も考えられます。
そこで本記事では、マネージドサービスの導入においてよくある失敗パターンを10例、ご紹介します。同じ失敗をしないよう、参考にしてみてください。さらに、導入時に気をつけるべきポイントについてもお伝えします。
マネージドサービスとは?
マネージドサービスとは、ネットワークやサーバーといった企業のITインフラの運用や管理を外部の専門業者に委託できるサービスのことです。
企業内でのITリソースやスキルの不足を補い、情報システム部門の負担を軽減するために効果的な手段です。
サービス内容は、ICTシステム の監視や保守、システムダウン時の対応といった日常的な運用業務から、システムの最適化、セキュリティ対策の強化まで、幅広い範囲をカバーしています。
マネージドサービスを利用することで、情報システム部門は日常のICT運用 から解放され、より戦略的な業務や新規プロジェクトにリソースを集中させることができるようになります。
マネージドサービスについて詳しくは、下記の記事もご覧ください。
マネージドサービスとは? - クラウドを含むICT運用をサポート
マネージドサービス導入のよくある失敗パターン10選
マネージドサービスは、企業のITインフラ運用を効率化するための強力なソリューションですが、導入プロセスや運用中に発生しがちな失敗を避けるためには注意が必要です。
以下に、よくある失敗パターンを10点、ご紹介します。
【失敗1】目標設定があいまいだった
マネージドサービスを導入する際に、明確な目標や期待する成果を設定しないと、導入後の効果を正確に評価することが難しくなります。
また、具体的な目標がないままサービスを進めると、ベンダーと企業との間で認識のズレが生じ、成果が見えにくくなる恐れがあります。
【失敗2】現状分析が不十分だった
自社のITインフラや業務プロセスの現状を十分に分析せずにマネージドサービスを導入すると、実際の運用でギャップが生じ、期待した結果を得られないことがあります。
たとえば、既存のシステムやプロセスが複雑な場合、サービス導入後に不具合が発生することがあります。
【失敗3】ベンダー選定が不適切だった
ベンダーの選定に失敗すると、サービス品質が低下したり、十分なサポートを受けられなかったりする可能性があります。
単にコストの安さだけで選定するのではなく、ベンダーの実績や技術力、対応力を重視すべきでしょう。
【失敗4】柔軟性の低いサービスを選んでしまった
サービス提供範囲や機能が固定されている柔軟性の低いマネージドサービスを選んでしまうと、ビジネスの成長や変化に対応できないことがあります。
特に、システムの拡張や変更が難しいサービスでは、導入後に業務効率が逆に悪化することもあります。
【失敗5】提供事業者とのコミュニケーションが不足してしまった
サービス導入後に、提供事業者とのコミュニケーションが不足してしまうと、問題発生時の対応が遅れるだけでなく、継続的なサービス改善も滞ることがあります。
特に、重要なアップデートやシステムの変更についての情報共有が不十分な場合、トラブルの原因になりかねません。
【失敗6】社内体制に不備があった
外部にICT運用を委託しても、社内の体制が整っていないと、マネージドサービスを最大限に活用できません。
たとえば、社内での役割分担が不明確だったり、担当者がサービスの仕様を理解していなかったりすると、運用がスムーズに進みません。
【失敗7】契約内容への理解が不足していた
契約内容やSLA(Service Level Agreement/サービスレベル合意 )を十分に理解せずにサービスを導入してしまうと、後々のトラブルの原因となります。
たとえば、期待していたサービスが契約に含まれていなかったり、想定外の追加費用が発生したりすることがあります。
【失敗8】セキュリティ対策を軽視していた
ICT運用の一部を外部に委託する場合、セキュリティ対策が不十分だと、データ漏えいや不正アクセスなどのリスクが高まります。
ベンダーとの責任分担を明確にし、セキュリティポリシーを策定し、適切なセキュリティ対策を講じることで、情報漏えいなどのリスクを最小限に抑えることができます。定期的なセキュリティ監査の実施も有効です。
【失敗9】変化に対する社内の抵抗感が強かった
新しいサービスや技術を導入する際、社内での抵抗感が強いと、スムーズな導入や運用が難しくなります。
特に、従業員が新しいサービスや業務プロセスの変更などに適応できなかった場合、期待した効果が得られないことがあります。
【失敗10】マネージドサービスへ過度に依存してしまった
マネージドサービスに過度に依存してしまうと、自社のITリソースやスキルが低下し、ベンダーのサービス範囲外の問題に対応できなくなることがあります。
結果として、長期的には企業の競争力が低下する恐れがあります。
マネージドサービス導入の失敗を避けるためのポイント
では、上記のような失敗パターンに陥らないためには、何に注意したら良いのでしょうか?
ここでは、失敗を避け、マネージドサービスを最大限に活用するために重要な5つのポイントをご紹介します。
自社のニーズに合ったサービスを選定する
マネージドサービスは一律ではなく、さまざまな形態で提供されています。
導入にあたっては、自社のITインフラの状態や運用方針を十分に理解した上で、どの範囲のサービスを委託するかを慎重に検討することが重要です。
たとえば、コスト削減を優先したい企業では、必要な範囲だけを選択し、運用の一部を自社で対応する「部分マネージドサービス」が選択肢に入るでしょう。
自社の業務内容や目指す改善目標に基づき、適切なサービスを選定し、長期的な視点で導入を検討することが成功の鍵となります。
目標設定と評価指標を設定する
導入する際には、明確な目標設定と、その達成度を測るための評価指標(KPI)を定めることが大切です。目標があいまいだと、ベンダーとの間で提供されるサービスの認識がずれ、期待通りの成果を得られない可能性があります。
たとえば、システムのダウンタイムをどの程度、削減したいのか、または運用コストをどれだけを削減したいのかなど、具体的な数値目標を設定しておくことで、導入後の効果を評価しやすくなります。
さらに、サービス提供事業者と事前に目標を共有しておき、定期的に成果を確認することで、必要に応じてサービス内容を調整することが重要です。
契約内容とSLAを確認する
契約内容とSLAを細かく確認することも、マネージドサービス導入の成功には欠かせません。特に、トラブル発生時の対応スピードや保証内容については、導入前に理解しておく必要があります。
SLAでは、ベンダーが提供するサービスの範囲やパフォーマンス基準が定義されており、対応時間、稼働率、システムダウン発生時の対応手順なども明記されます。
これらを明確にしておくことで、サービス運用中の予期せぬトラブルに対して適切に対応することが可能です。
情報セキュリティ対策を徹底する
マネージドサービスを導入することで、外部ベンダーが企業のITインフラを管理することになります。そのため、セキュリティ対策が不十分であれば、データ漏えいや不正アクセスなどのリスクが高まる可能性があります。
ベンダーが提供するセキュリティ対策について事前に確認し、自社のセキュリティ基準に合致しているかどうかをチェックすることが重要です。ベンダーがどのようなセキュリティ対策を講じているかを確認した上で、必要に応じて追加の対策を実施するようにしましょう。
提供事業者と密なコミュニケーションを取る
サービス提供事業者との密なコミュニケーションが、マネージドサービス導入の成功を左右します。サービス提供事業者との定期的な打ち合わせや報告会を通して、システムの運用状況や改善点を常に確認し合うことで、問題発生時にも迅速に対応できる体制を整えることができます。
特に、ビジネス環境や技術の進化が速い現代では、コミュニケーション不足が原因でシステムの陳腐化や問題の長期化を招くこともあります。サービス提供事業者との協力体制を強化し、情報を共有することで、より効率的な運用が可能になります。
マネージドサービス導入の5つのポイントについては、下記の記事もご覧ください。
マネージドサービス導入の5つのポイントとは?
まとめ
マネージドサービスは、企業におけるITインフラの運用負担を大幅に軽減し、情報システム部門がコア業務に集中できる環境を提供する非常に有用なソリューションです。
しかし、導入に成功するためには、導入前の準備と導入後の運用が非常に重要です。
本記事で紹介したような、よくある失敗パターンを理解し、それらを回避するための対策を講じることで、サービスの効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
特に、自社のニーズに合ったサービスの選定、目標設定と評価指標の明確化、契約内容とSLAの詳細な確認、セキュリティ対策の徹底、そして提供事業者との密なコミュニケーションは、失敗を避けるための基本的なポイントです。
これらの要素を確実に押さえ、適切な計画と協力体制を整えることが、長期的な成功につながります。
たとえば、ドコモビジネス のX Managed(クロスマネージド)のような高度で柔軟なマネージドサービスを活用することで、企業は安心してITインフラ運用を委託しつつ、DX推進や企画開発に向けたさらなるリソースの投入が可能になります。
X Managedは、メニューを選択できる、セミオーダー型のマネージドサービスです。
要件整理や設計(基本/詳細)、運用設計から、導入・運用までのベストプラクティスを一体提供し、継続的に問題管理と継続的改善活動(CSI)を実施することでお客さまの運用高度化を支援します。
サービスの詳細は、下記ページをご覧ください。
https://www.ntt.com/business/services/xmanaged/lp/manga-de-ict/wp-xmanaged01.html