「運行日報」の作成・管理が安全運転管理業務には不可欠
管理者が主導すべき安全運転管理業務の1つとして義務化されているのが運転者による運行日報の管理です。管理者は道路交通法施行規則にもとづき「運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させる」義務があります(運行日報の保存期間は最低1年間とされています)。つまり、運行日報は管理者だけではなく、運転者を巻き込み、事業所全体で取り組む必要があります。
運行日報の書式には、決められたフォーマットはありません。記入すべき項目が網羅できていれば紙でもExcelなどのデータでも構いません。記入項目は運転者の氏名や運転した車両の登録番号、乗務の開始および終了の日時と地点、走行距離、経過地点など。さらに長時間運転する場合には、休憩や睡眠をとった地点、日時も記入します。交通事故や渋滞による遅延発生などの不測の事態が起きた場合は、その概要や原因も書き込む必要があります。
記入項目が多くて面倒と感じるかもしれませんが、運行日報を作成していれば日々の車両や運転者の状態を把握でき、事故や危険運転が抑制できる効果があります。さらに燃費向上や車両の適正利用の推進といった安全面以外のメリットもあります。このように、事業者にとっていいことずくめの運行日報ですが、実務的な課題があるのも事実です。
「業務負担が増える」「記入内容に個人差」
日報作成を効率化する一手
たとえば紙ベースの日報を手書きで作成する運転者からは「仕事後に帰社して日報を書くのが大変」「多忙な業務内で日報作成に時間が割かれる」といった声があります。運転業務に関連することとはいえ、日々記入項目の多い日報を作成する稼働に不満を感じるケースが多いようです。一方、手書きの日報を取りまとめる管理者からも「手書きの日報は精度に個人差がある」「データ化に手間がかかる」といった問題点が指摘されています。さまざま筆跡を読み解き、不備を確認し、データ入力する手間が負担となっているようです。
このような運行日報の課題を劇的に解決できるデジタルツールがあるのをご存じでしょうか。車両運行管理サービスと呼ばれるもので、各社からリリースされています。たとえば、NTT Comが提供する「Vehicle Manager®」は、通信機能、GPS機能内蔵の小型車載器を車両に設置するだけで運行日報が自動作成できるようになります。
動画で見る「Vehicle Manager®」機能紹介
これまで運転者が帰社後に手書きで記入していた日報作成は不要になり、運転者のみならず、多拠点展開する事業者の場合、各営業所などからの日報の提出工数の削減にもつながります。すべての運転者の日報が、管理者のもとにPDFなどのデータで届くため管理者にも大きなメリットが生まれます。手書きでは個人差のあった日報の精度が向上し、データ利活用が容易なCSV出力にも対応しているため、それまで管理に求められた煩雑な稼働も大幅に軽減できるでしょう。そのうえペーパーレス化も図れるため、環境への負荷も軽減できます。
さらに「Vehicle Manager®」では、運転傾向分析や車両稼働実績などをWebアプリケーション上で閲覧・管理でき、車両運行状況の管理や安全運転の確保が容易になります。あおり運転につながる危険な行為も抑止できるため、交通事故削減による事故処理費用や自動車保険料などの関連コストの削減、エコドライブによる燃料費削減にもつながります。長期的には各車両の走行ルートも可視化できるため、ルートの最適化による配送効率の向上などの効果も見込めます。
コロナ禍に対応した新しい働き方が求められるニューノーマル時代の中、従来の手書き日報の撤廃を皮切りに、安全運転管理を取り巻く環境を抜本的に見直してみてはいかがでしょうか。