もはやDXに無関係な日本企業は存在しない
日本におけるDXは、2018年に経済産業省が「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」を発端に拡大していきました。同ガイドラインではDXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。要はデータとデジタル技術の活用で事業を成長させるという概念です。
さらに経済産業省では、2020年よりデジタル技術を前提にビジネスモデルなどを抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化向けた「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組む国内上場企業を「DX銘柄」に選定しています。2021年9月には「DX調査2022」を開始。回答企業には同省がフィードバックし、各社の取り組みを後押しする情報を提供する計画です。さらに、回答企業はDXを積極的に推進する企業として公表されるといいます。
DX調査2022は、現在、上場企業に限っていますが、企業規模に関わらずDXに取り組む重要性は高まっています。コロナ禍の感染防止に伴う非接触・非対面型業務が進んだことで、社員証を非接触ICカードに切り替える、相手を訪問するフィールドセールスからインサイドセールスへのシフトを図る取り組みもそうでしょう。あるいは感染症対策の一環としてオフィスから在宅勤務へのシフト、リアルなイベントからオンラインセミナーへの移行化などもデジタルを活用したDX推進の例といえるでしょう。
とはいえ、「そうそう簡単にDXは推進できるものではない」「社内的に予算や稼働を確保するのは難しい」「ビジネスモデルを抜本的に改革する方法がわからない」といった理由から、どこか“他人ごと”としてとらえている事業者の方も多いかもしれません。DXという言葉があいまいであり、ともすれば莫大な予算と稼働が必要という大きなスケールでとらえてしまいがちです。しかし、もっと身近なところで、社内的な業務課題を解決するための予算や稼働を抑えたDXも存在します。
たとえば、商用車(社用車)を持つ事業者であれば、手早く簡単に、予算を抑えて始められるDXがあります。商用車(社用車)の運行管理をIoTの技術を用いてデジタル化するサービスの導入です。