企業はレジリエンスをどう高めるか? 具体的な強化方法

移り変わりが激しく、先が見えにくい時代のなかで企業として生き残り、成長と発展を遂げるには組織レジリエンスの強化が不可欠です。レジリエンス強化への取り組みによって、困難に打ち勝てる強い組織への成長が可能です。本記事では、レジリエンスの概要や具体的な高め方などについて解説します。

レジリエンスとは?

レジリエンスとは?

レジリエンス(resilience)とは、回復力や復活力、復元力、弾力などを意味する英単語です。変形したものがもとの形へ戻ろうとする弾力性から、精神的な回復力や立ち直る力、適応力などの意味で使われるケースがあります。

レジリエントな人とは、大きな壁や困難に突き当たっても、心折れることなく乗り越えられる人のことです。また、多様な考え方を有し、チャレンジ精神に満ちているのもレジリエントな人の特徴です。

上記を企業へと反映した概念が組織レジリエンスです。さまざまな変化やリスクに対応し、組織として発展と成長を続けるには、回復力やしなやかな柔軟性が欠かせません。企業におけるこうした適応能力のことを、組織レジリエンスと呼びます。

レジリエンスの3要素

個人・組織におけるレジリエンスの精神回復力を構成する要素は大きく3つに分けられます。新奇性追求と感情調整、肯定的な未来志向の3つです。この3要素が強いほど、回復力も高いと考えられています。

1.新奇性追求

新奇性とは、ほかにはない珍しいさまや目新しいものなどを指します。新奇性追求は、さまざまな分野に対し興味や関心を示すことです。

好奇心旺盛な人をイメージすると分かりやすいかもしれません。過去に見たことがない、触ったことがないといったものに対しても積極的に関わりを持とうとする人です。

新たな活動の推進に関わる要素も、新奇性追求です。あらゆることに興味や関心を抱ける企業であれば、ネガティブな変化が生じた際にも挫けることなく、積極的に新たな分野へ進出しようと行動を開始できると考えられます。

2.感情調整

感情調整とは、「怒」や「哀」といった感情をうまくコントロールすることです。喜怒哀楽のなかでも、怒と哀はコントロールが困難です。頭では理解していても感情を制御できず、自然と声が大きくなる、涙がこぼれ落ちるといったことも珍しくありません。

ネガティブな感情を上手にコントロールできれば、逆境に陥っても挫けることなく前へと進めます。「哀しくて今は何も手につかない」といった状況であっても、感情に溺れなければそれ以上気持ちが落ち込むこともなく、次に向かって気持ちを改められます。

企業の場合も、たとえば「売上が想定を遥かに下回った」といった状況でも負の感情を長引かせず、スピーディーに気持ちを切り替えて次の策を考えることが大切です。

3.肯定的な未来志向

肯定的な未来志向とは、この先やってくる未来は明るいものであると肯定的に捉える考え方です。ただし、何の根拠もなく未来に期待するのではなく、明るい未来を実現するための道筋を立てなくてはなりません。

困難にぶつかったとき、否定的な未来を描くと余計に心が落ち込んでしまいます。モチベーションが下がれば行動を起こす気力も失い、状況がますます悪くなるケースも考えられます。

どのような状況下においても、明るい未来を描ければ、モチベーション向上が可能です。明るい未来を実現するための根拠ある道筋を立てることで前向きになれ、精神的な回復も促進されます。

企業にレジリエンス強化が求められるようになった理由

理由1.社会情勢や環境が大きく変化している

世界的な感染症の拡大に大規模な災害、大国による隣国への武力侵攻、深刻な環境問題など、企業を取り巻く情勢や環境は大きく変化しました。それに加え、現代はVUCA時代とも言われています。

VUCAとは、変動性を指すVolatilityと不確実性を意味するUncertainty、複雑性を示すComplexity、曖昧性を指すAmbiguityの頭文字で構成した造語です。状況が刻々と目まぐるしく変化し、先の見通しが困難であることを意味します。

情勢や環境の大きな変化に加え、先の見通しが困難な時代であるからこそ、企業にはレジリエンス強化が求められます。ある日突然、大きな壁が立ちはだかり理不尽な変化が生じても、レジリエンスの高い企業であれば状況に応じた対応ができ、仮にダメージを受けてもスピーディーな復活が可能です。

理由2.健康経営が推奨されている

健康経営とは、従業員の健康管理や健康増進へ積極的に取り組み、組織の活性化や生産性の向上を実現する経営手法です。日本の少子高齢化は著しく、今後労働人口もますます減少すると考えられており、多くの企業が人材難に悩まされると見られています。経営課題として従業員の健康管理や健康増進に取り組めば、少しでも長く働いてもらえる可能性が高まり、人手不足の解決につながります。

労働人口の減少は国力の低下に直結する重大な懸念事項です。それゆえ、解決の糸口となる健康経営には国も大きな関心を寄せており、推進の取り組みにも積極的な姿勢を見せています。

レジリエンス強化への取り組みは、従業員のストレス耐性や満足度向上につながります。心身の健康を維持しつつ快適に働ける環境が整い、離職率低下につながるのもメリットです。

理由3.企業ブランド向上に役立つ

レジリエンス強化に取り組むことで期待できるのが、社会情勢の変化や重大な危機にも柔軟に対応可能な企業という評価です。

企業を評価する指標も、時代とともに変化しています。かつては、売上や純利益、市場におけるニーズなどが主な評価指標でしたが、近年ではレジリエンスが重視され始めました。レジリエンスが高い企業であれば、先を見通しにくいVUCA時代にも適応できるとの判断から市場でも一定の評価を得られ、企業ブランド向上につながります。

企業ブランドの向上によって得られるメリットは、売上や利益の向上だけではありません。企業ブランドが高まれば、採用力の強化にもつながります。労働人口の減少に伴う人材難が懸念される現代において、採用力の強化は大きなメリットです。

企業での具体的なレジリエンス強化方法とは?

従業員のレジリエンス強化を推進する

組織レジリエンスを高めるには、企業活動の要となる従業員のレジリエンスを高めることが、組織全体のレジリエンス強化につながります。

従業員のレジリエンス強化で最初に取り組むべきことは、担当者や担当部署が「レジリエンスが高い人の特性」をよく理解する、ということです。レジリエンスの高い人の思考パターンや行動パターン、ストレスや感情コントロールの方法などを理解し、次に、どのように強化したらよいかを検討します。強化の方針を定めたらマニュアルの整備や研修カリキュラムを構築し、現場で活用・実践しながら根気強くレジリエンス強化に取り組んでいく必要があります。

社外の研修を活用するのも有効です。近年、組織レジリエンスの概念が浸透し始めたこともあり、レジリエンス強化研修を実施する企業も増えました。社外の研修を利用する際には、どのような講師が指導にあたるのか、サポート体制はどうなっているのかなどをチェックしておきましょう。

積極的な挑戦を評価する環境を整備する

従業員による積極的な挑戦を評価せず、保守的な考えに終始してしまう企業は、レジリエンスが養われず、社会の変化に対応できない恐れがあります。

組織レジリエンス強化のため、従業員が失敗を恐れず挑戦できるよう、環境の整備を進めましょう。新たなチャレンジをしようとしている従業員の背中を押せるような企業風土への変化を促す、失敗しても責めずにフォローする、挑戦をサポートできる体制を整える、などの取り組みが考えられます。

自社のビジョンを従業員に浸透させる

自社のビジョンやミッションが従業員に浸透していると、個々がそのときどきで適切な判断を行えます。組織の最前線で働く従業員は、自社を取り巻く情勢や環境の変化に気づきやすいポジションです。ビジョンやミッションが浸透していれば、それを基に現在の状況とその対応策を判断でき、適切な行動を起こせます。

自社のビジョンやミッションを浸透させるには、トップからのこまめな情報発信が有効です。社内メールや社内SNSなどで発信する、朝礼で伝えるといった方法です。また、ビジョンやミッションを理解した行動をしている従業員を表彰する制度を設ける、1on1ミーティングを実施するなどの方法もあります。

BCPに取り組む

BCPへの取り組みも、組織レジリエンス強化に有効です。BCPとはBusiness Continuity Planの略であり、事業継続計画と訳されます。イレギュラーな事故や大規模災害などが発生した際、組織が被るダメージを限りなく小さく留め、なおかつ事業を継続できるよう計画を立てることです。

たとえば、データセンターの水害によるデータ消失を避けるべく、クラウドストレージへ分散して管理する、地震が発生した際の代替策をあらかじめ決めておく、災害に伴う通信障害で電話が使えなくなったときの連絡方法を確立しておく、などが挙げられます。

サイバー攻撃のリスクも考慮しなくてはなりません。サイバー攻撃の手口は巧妙化の一途をたどっており、クラウドをターゲットとしたランサムウェア攻撃も増加しています。データの消失や破壊などのリスクを軽減するため、定期的にバックアップを取得するなどの対策も考える必要があります。

ERMに取り組む

ERMとは、Enterprise Risk Managementの略であり、日本語では統合型リスク管理や全社的リスクマネジメントと訳されます。組織で発生すると考えられるあらゆるリスクの把握と評価を行い、組織が掲げる目標の達成確度を高めるリスクマネジメント手法です。

ERMを実施する際には、まず組織の目標を明確化します。そのうえで、リスクの抽出と評価、対応、モニタリングなどを行います。なお、ERMは特定の部署が担うのではなく、組織全体で行う点が大きな特徴です。部門任せではリスク漏れやミスなどが発生しかねません。組織全体で取り組むことで、よりきめ細やかなリスクマネジメントの実現およびレジリエンス強化につながります。

IT化・DXを推進する

便利なITツールやシステムを導入すれば、従業員は今まで以上に効率よく業務に取り組め、職場への満足度やモチベーションが高まります。IT化やDXによって、従業員の多様な働き方に資する環境の整備も可能です。リモートワークやモバイルワークといった選択肢が増えることは、従業員のレジリエンス強化につながります。また、ITツールやシステムの導入は、BCP対策の推進にも役立ちます。

レジリエンス強化に使えるWasabiオブジェクトストレージ

レジリエンス強化に「Wasabiオブジェクトストレージ」の導入も検討してみましょう。
昨今、急激に増加しているテレワークやIoT/AI/ビッグデータの普及などにより、必要なデータ容量が加速的に増えています。また、それに伴いランサムウェアの被害も急増しています。増え続ける大容量データをバックアップするには、セキュアなバックアップストレージが欠かせません。「Wasabiオブジェクトストレージ」は、不正アクセスやデータ漏洩を防ぎながらデータを安全にクラウドにバックアップでき、データの破壊や消失などの被害を最小限に食い留めます。
Wasabiオブジェクトストレージは、クラウドやオンプレミスを問わず、データの利活用が可能なオブジェクトストレージであり、データ転送料が発生しないなど大容量のデータを低コストで管理できる点が特徴です。サービスはWasabi社が提供している複数の国内のリージョンを利用できるほか、海外のリージョンも利用できます。

Wasabiオブジェクトストレージの代表的なメリット

費用が業界最安値水準

Wasabiオブジェクトストレージは、限りなくコストを抑えた運用が可能である点がメリットです。データ容量が無制限であるため大容量のデータも容易にやり取りでき、しかもデータ転送料が発生しません。API課金やトラフィック課金がなく、格納したデータに対してのみ費用が発生するため、コストを抑えた運用が可能です。

導入時における初期費用も不要であるため、余計なコストがかかりません。また、最低利用期間の設定がないのも魅力的です。利用した分の費用が月額料金として請求されますが、最低課金期間や最低サイズ、最低利用料などは存在するため注意しましょう。

24時間365日監視・故障対応

Wasabiオブジェクトストレージのメリットとして、24時間365日の監視体制が挙げられます。ストレージの様子は常時モニタリングされているため、安心して運用が可能です。万が一問題が発生した際にも、スピーディーな故障対応を受けられます。

なお、同サービスにおけるデータの堅牢性は99.999999999%です。それに加え、常時モニタリングと即時対応の体制を整えているのは、ユーザーにとって嬉しいポイントです。

先を見通しにくい時代であるからこそ、企業にはレジリエンス強化が求められます。激しい競争を生き抜き、今後も企業として継続的な成長と発展を目指すため、さっそくレジリエンス強化への取り組みを始めてみましょう。

まとめ:企業が変化に対応するにはレジリエンス強化が必要不可欠

レジリエンス強化に努めれば、困難な状況に陥ってもそのときどきに応じたベストな選択と行動が可能です。組織レジリエンス強化には、従業員のレジリエンスを高める、ビジョンやミッションを浸透させるなどの取り組みが有効です。BCPへの取り組みやIT化、DX推進も有効であるため、着手しやすいところから始めてみましょう。

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